仕事

「勝ち組」サラリーマンに募る危機感。大手ゼネコン、テレビ、広告…

負の連鎖は続く…

テレビ 大原さんが続ける。 「テレビは単に“見てもらえたらそれで良い”ということではありません。見てもらった上で、カネが動かないとテレビ局の収益はゼロになる。イベント部門でも、全ての予定がパーになり、全く仕事がない状況が続いています」(大原さん) 「広告」は普段、あってもなくても変わらないなどと思われがちだが、現代における「広告」は、人に何かを知らしめるという目的以上に「カネの流れ」を生み出すために必要不可欠なツールであることに、コロナ禍をきっかけに気がついた人も多いのかもしれない。  大手広告代理店に勤務する宜保新一さん(仮名・40代)が沈痛な表情を浮かべる。 「テレビの広告枠も値段がどんどん下り、深夜帯だとタダ同然の価格でも売れない場合があり、テレビ局は自社の報道番組のCMを打って間を埋めている状況。人が動くところに必ずあるのが広告なんですが、人が動かないと広告は必要ない。  身近なところで言えば、電車の中吊り広告など、ダイエットや植毛、老人ホームとお墓関連は辛うじて残っていますが、その他はほとんど鉄道会社の自社広告になっています。ネット上の広告費も下がっていて、盤石だと思っていた広告業界も雲行きが怪しい」(宜保さん)  コロナ禍により、いち早く仕事がなくなり、生活が困窮した人々について「もともと負け組」「不安定な仕事をしていたからだ」と意地悪に指摘する声もあるが、当然、影響はそうした人々たちにだけふりかかるものではない。  隣人が倒れれば、その影響は必ず自分自身にも訪れる。日常生活ではなかなか感じられることのなかった“常識”を、エリートたちも今、改めて噛み締めているのだ。<取材・文/山口準>
新聞、週刊誌、実話誌、テレビなどで経験を積んだ記者。社会問題やニュースの裏側などをネットメディアに寄稿する。
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