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オンライン授業で広がる教育格差。「なんとなく」勢が置いてけぼりに

取り残される「なんとなく」学校に通う生徒たち

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写真はイメージです

 オンライン授業における問題点として当初話題となっていたのは、各家庭におけるネット環境・教育環境の差だ。今回取材に答えてくれた坂田さんも、「自宅のWi-Fi環境が弱い時は、映像が上手く流れない」と話してくれた。  ネット環境の格差については、各自治体や学校が端末・ルーターを配布するなどして、比較的早期から解決が図られている。  筆者が在籍する大学院でも、前期授業はすべてZoomを利用したオンラインでの開講となった。それに伴い、オンライン授業支援給付金として3万円が全学生に支給され、PCの有料貸出も開始された。  PCのレンタル料は1~2万円。有料である理由を大学側の事務職員に尋ねたところ、以下の回答が返ってきた。 「無料で貸し出した場合、学生も雑な扱いをしてしまう。破損リスクを避けるため、あえて有料にした。学生からお金を巻き上げるものではない」  大学構内のメディアセンター(PCルーム)も開放されているが、オンライン講義が行われている時間のみ利用可能で、大学入構の際には事前予約が必要となる。  図書館利用についても同じく、前日までの予約手続きと利用時間の制限がある。  三密を避けるために必要な対策ではあるものの、施設利用に制限を設けてしまえば、結果的に学習意欲が低い学生を排除してしまうリスクも生じる。  高等教育においては、入学時のやる気の差が学校生活・勉学への意欲に影響しやすい。  坂田さんの通う専門学校でも、「勉強したくないけど社会人にもなりたくないから進学した」学生が多いという。  現在、大学院生でもある筆者が見てきた限り、大学も同じように「就職に有利だからなんとなく進学する」学生は多く、そういった学生ほどドロップアウトしやすい傾向にある。 「なんとなく」で入学しても、学校生活を送る中で目的や学びの価値を見つける学生もいる。しかし、オンライン授業がメインとなったコロナ禍では、授業以外での刺激を得られず、学習意欲を持てないままフェードアウトする学生も出てくるのではないか。  第二派の到来が危惧されるなか、夏以降も各教育機関にてオンライン授業や分散登校は続くと思われる。小中高とは違い、学生の自主性が大いに求められる専門学校や大学では、「学習意欲が低い、もしくは低下した学生をどう救済するか」が今後の課題となるだろう。<取材・文/倉本菜生>
福岡県出身。フリーライター。龍谷大学大学院修了。キャバ嬢・ホステスとして11年勤務。コスプレやポールダンスなど、サブカル・アングラ文化にも精通。X(旧Twitter):@0ElectricSheep0、Instagram:@0ElectricSheep0
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