換気と冷房の共存は難しいとの回答ではあったが、やはりコロナウイルスの感染拡大と熱中症の危険の両方を避けたいものだ。換気をしながら冷房効果をなるべく落とさないコツについて、重政さんは次のように教えてくれた。 「まずは、換気をしている間は冷房の設定温度を普段より少し低めにするなどの工夫をしていただけたらと思います」 　さらに、飲食店はもちろんだが私たちが、無意識にやってしまいそうな失敗例もある。 「特にマンションなどはそうですが、掃き出し窓の近くにエアコンが設置されていることが多くありますね。換気のために窓を開ける際、室内機から遠い方の扉を開けることをお勧めしています。 　エアコンに近い方の扉を開けて換気をすると、エアコンが外からの暑い空気を吸い込んで、その空気の温度を下げようとするため、エアコンに大きな負荷がかかります。その分、消費電力も増加してしまいます」 　つまり、冷房しながらの換気の際はエアコンから離れた窓を開けることが大事だということだ。 　さらに、換気によって温度が思ったように下がらなくても、湿度のコントロールで熱中症リスクは下げられるという。人の体は汗をかきそれが蒸発することで体温調整をしているが、湿度があがると汗が蒸発しきれず、熱が体にたまり熱中症の危険性が増す。 　そこでエアコンの除湿機能なども活用し湿度をさげることが有効策となる。湿度が20％変わると体感温度が4度も変わると言われており、「室温28度でも、湿度を55％以下に保てば快適性が向上する」という研究が、今回話を聞いたダイキンと理化学研究所の共同ですすめられているそうだ。 　コロナウイルスの感染拡大を抑えるために換気をしようとすると、高まってしまう熱中症のリスク。上手に「空気を読む」ことで、なるべく多くの店や人がこのふたつの脅威にさらされないよう願う。＜取材・文／Mr.tsubaking＞Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大！天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。