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ファミコン世代がゲーム観戦で老後を過ごす…eスポーツ業界が見すえる未来

“老後をゲーム観戦で過ごす人たち”の未来を見据えて…

ストーム久保

“プロゲーマー正社員”のストーム久保氏(左)

 同社が運営するプロゲーマーチーム「TEAM iXA」では、そうした他社で働きながら複業プロゲーマーとスポンサー契約もしている。一方で「ストリートファイターⅤ」シリーズをメインに活動するストーム久保氏を昨年から “プロゲーマー正社員”として雇用。完全にゲームに専念できる環境を提供し、「TEAM iXA」に迎えた。 「やはりプロゲーマーが社会的に認められる手段のひとつとしても、ゲームできちんと稼げる体制は大事だと思っています。いまはトップ選手も含めて各々が工夫しながら活動している感じですが、特に久保君のようなストリートファイターのプロ選手はツアーで海外を遠征しなければいけない現状もある。国内だけでも成立する仕組みが今後できてくると理想的なのかなと思います」  eスポーツと一括りに言ってもゲームタイトルはさまざま。当然ながらゲームメーカーの広報施策の一環でeスポーツを活用する側面などもあり、純粋なショービジネスとして成立させる上でジレンマを抱えていることは否めない。  そもそもプロゲーマーの定義も「諸説ある」そうで、JeSUが発行するプロライセンス制度はあるが、このライセンスがなくてもプロと同じように活動して生活をしている人も存在するという。 「eスポーツの場合は、YouTubeなどで自分のメディアを持って知名度を上げて、“ストリーマー”として稼ぐ手段が別軸で存在している点も、他の競技スポーツなどとは違うところです。ただ、大会で活躍する為にプレイの腕を磨く事と、両軸で考える必要があるのかなと。いずれにせよ僕らの目指す方向としては、ゲームが上手くなることだけ考えて純粋に腕を磨いていける環境や、ゲームの腕だけでとりあえず食べていけるという人を増やしていくことを重視しています」  しかし、ファミコン世代もいまや中年。将棋や野球で活躍する人が大きな話題となり、人々から尊敬されるように、プロゲーマーも一部の熱心なファンだけでなく、より多くの幅広い人たちから注目を浴びるようになる可能性はこれから十分あるとも語る。 「テレビの芸人さんとかでも『君はお笑いやっていてよかったな』みたいな方がいらっしゃると思うんですが、僕は一芸に特化した人が救われる社会がいいと思うし、ゲームが上手いことの先に続く道をしっかり切り拓いていくことが、僕らの役割だと思っています。  子どもの頃、ゲームに触れた世代はゲームに対する偏見もあまりないでしょうし、そういう世代がシニアになって、ゲーム観戦で老後を過ごすことも一般化するかもしれません。その時に多くの人が僕らのチームも応援してくれるような状態を目指していますね」<取材・文・撮影/伊藤綾>
1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii
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●TEAM iXA
http://ixa.yarukiman.com/
●ストーム久保
Twitter:@stormKUBO
YouTube:ストーム久保
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