ファミコン世代がゲーム観戦で老後を過ごす…eスポーツ業界が見すえる未来
コロナ禍の「巣ごもりコンテンツ」のひとつとしてゲームの需要が高まり、「eスポーツ」への注目度が増している。子どものゲームで遊ぶ時間を制限する「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」が物議を醸したことも記憶に新しいが、今回は“ゲームが上手いことの価値向上”を掲げ、eスポーツチームの運営やスマホゲームの企画・開発などを行うヤルキマントッキーズ社長の板垣護氏にインタビューを敢行。
コロナ禍の影響も含めたeスポーツ業界の現状や同社の取り組みをうかがった。
「毎年のように『今年はeスポーツ元年だ』と言われていたんですけど、実際はイマイチで。ようやく2018年くらいに、いくつかあったeスポーツ団体がJeSU(日本eスポーツ連合)に統一されるなど、いろいろな動きが活発になって、本当にみんなが『eスポーツ元年だった』という感じになりましたね。ビジネスとして注目されることも2018~19年くらいから増えた印象です」(板垣氏、以下同)
コロナ禍による巣ごもり需要を捉え、業績も絶好調なゲーム業界。とはいえ、eスポーツ大会に出場するプロゲーマーたちにとっては手放しで喜べる状態でもないという。
「一般の方々のプレイ時間が増え、その流れでプロゲーマーが投稿・配信する動画が観られる機会が増えたのは間違いないんですが、今まで出場していたオフラインの海外大会が全てなくなっていて。オンラインの大会も増えてはいるんですが、日本人が出場できる大会は確実に減っています」
欧米や韓国・中国など高額賞金のチャンスが多い海外に比べ、「刑法賭博罪」「風営法」など法律の関係から国内ではそもそも賞金が出る大会自体が少なく、日本人プロゲーマーは海外に比べてチャンスが絶対的に少ないのが現状だ。
「eスポーツが盛んな海外ではプロゲーマーの職業的な地位も認められつつあり、ゲームタイトルにもよりますが、専門的な学校やプロゲーマー引退後にコーチになる流れもできています。韓国だとプロゲーマーはモテるという話もありますね。僕はもともと“ゲームが上手いこと”に価値のある世の中をつくりたいという思いがずっとあって、2015年に今の会社を設立したんですが、日本だとゲームは本当に娯楽でしかない。ゲーム=遊びのイメージが強すぎる気がしています」
大会の賞金以外のプロゲーマーの主な収入には、スポンサー契約によって発生する所属チームからの報酬が挙げられるが、普段は会社員として働きながらプロゲーマーとして活動している人も多いそうだ。
「結果的に好きが高じてそういう企業で働いていてプロに、というパターンは多いです。ゲーム業界やエンタメ業界の企業で働いている人の割合が多く、そういう企業じゃないと休みも取らせてくれなくて、世界大会にも出場しづらいみたいな話もあって。マラソンなど他のスポーツの世界大会だったら考えにくい話ですし、やはり日本の一般企業や社会的にはまだまだ『ゲームなんて』といった風潮は強いと感じますね」
「eスポーツ」業界への新型コロナの影響は?
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1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii
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