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「ストリートファイターV」の達人に聞く“プロゲーマー正社員”のリアルな日常

プロゲーマーはフィジカルも大事?

板垣護

ヤルキマントッキーズ社長の板垣護氏(右)

 せっかくなので格ゲーが上手くなるコツを聞くと、「ひたすら対戦して、負けた理由を分析しながら対策を練るうちに勝ちやすくなっていきました」というシンプルな答えが返ってきたが、「TEAM iXA」オーナーの板垣護氏はこう補足した。 「一般の方も技の練習して、技をつなげていくコンボみたいな考え方をすると思うんですが、自分の気持ちいいコンボを入力して『当たればいいな』というレベルの人が一番多いんですね。プロはそのコンボを発生させたとき、トータルでこれくらいのダメージというのが、キャラごとに頭に入れた上で読み合いをしていて。大技が入ってもそれで自分のターンが終わると、逆に反撃されて負ける可能性があるから、低めのダメージで削って自分のターンを続けた方が勝ちやすいとか。それも経験が元だと思いますが、そこまで考えながらプレイする域まで達するかは、ひとつポイントとしてあると思います」(板垣氏)  高度な読み合いをリアルタイムで行うeスポーツ。『ストリートファイターV』では40代のプロゲーマーも活躍しているが、ゲームタイトルによっては20代前半で引退するゲームもあるそうで、プロレベルになるとゲームもフィジカル面が大切になってくる。 「大会では2日連続で朝から晩まで試合することもあるので、確かに体力の話はあります。東大卒プロゲーマーの肩書で有名なときどさんは、体力面の勝負で勝てないと集中力も切れてしまうということで、ジムでガッツリ鍛えていますね。僕は去年、腱鞘炎になってから握力を鍛えたり、ストレッチしたり、お医者さんに言われてからやっているくらいですけど」(久保氏)  対戦結果によっては1日の大会で10人と対戦することもあり得るとのことで、遊びならともかく全てが真剣勝負だと精神的にも肉体的にも消耗は相当に激しいそうだ。ちなみに、プロゲーマーたちは元がゲーム好きなこともあってか、海外遠征中も観光にあまり興味がない人が多いらしい。それだけ海外に行っていた久保氏も現地を観光したことは稀だったという。 「だいたいプロゲーマーでみんな同じホテル泊まるんですけど、夜も部屋にみんなで集まって練習したり、一人で寝てたりするんですよね。1日目に負けた場合も会場で試合を観ている人が多いです。少しだけプロゲーマーの間で観光ブームあったんですけど……そんなに流行らなかった(笑)。ラスベガスとかで開催されることもありますけど、だいたい地域活性化の一環でeスポーツ大会を開催して、地元の人が観に来る感じが多いので、開催場所も田舎が多いんです。たまに近場で観光名所があったら行くぐらいですね」(同)  地域活性化につながる可能性を秘めたeスポーツ。日本でもアメリカのように根付く日がそう遠くない将来やってくるかもしれない。<取材・文・撮影/伊藤綾>
1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii
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●TEAM iXA
http://ixa.yarukiman.com/
●ストーム久保
Twitter:@stormKUBO
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