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渋谷ハロウィン、暴徒は深夜にやってくる。専門家が危惧

 この時期、毎年問題となっていた渋谷のハロウィン騒動。今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、渋谷区は「街に集まらないで」と呼びかけを行っている。10月22日には、渋谷区の長谷部健区長が対策について会見を開いた。
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例年、多くの人が集まる渋谷のハロウィン。対策は無意味なのだろうか!?(写真はイメージです。以下同)

 街に人が集まらないよう、配信プラットフォーム「バーチャル渋谷」でのハロウィンイベントを計画している渋谷区だが、専門家からは対応を疑問視する声も上がっている。

渋谷区は「街に集まらないで」と呼びかけ

 取材に応えてくれたのは、日本ハッピーハロウィン協会・代表の岡本恭和氏。同協会は日本におけるハロウィン文化の伝達・啓蒙を目的としており、今年で創立10周年を迎える。岡本氏は渋谷のハロウィン騒動をこう振り返る。 「渋谷ハロウィンは2014年頃から賑やかになり、2015年以降から混雑とマナー、ゴミ問題が浮上するようになりました。渋谷区など行政の対策が不十分なまま、2018年には参加者が暴徒化。逮捕者も出る始末です」  2018年に起こった渋谷ハロウィンでの「軽トラ横転事件」は記憶に新しい。盗撮や痴漢などでの逮捕者も続出し、2019年には「ハロウィン路上飲酒規制条例」が制定された。条例が功を奏してか、2019年の渋谷ハロウィンは比較的「平和」に終わったと言われていたが、岡本氏によると治安向上には不十分だったという。 「昨年は大きな混乱もなく、参加者には評判がよくなってきているなと感じました。しかし、コンビニなどで酒類の販売を禁止したものの、店頭でアルコールを売る悪質な飲食店があったのは事実です」  前年に比べれば穏やかだったと評されている2019年の渋谷ハロウィンだが、窃盗や痴漢で逮捕者が出たのは相変わらずだ。

ハロウィン当日に人が集まるリスク

 今年のハロウィン対策に関し、岡本氏は「告知力が不足している」と指摘する。 「渋谷区はオンラインイベントの準備を進めていて、Twitter上で『#集まらないハロウィン』を呼びかけています。フラッグやポスター、サイネージ広告などを使い街中での注意喚起もしていますが、ハロウィンで渋谷に集まる人々は、普段から渋谷にいる人たちよりも、他の区から来る人がほとんどです。街中の広告なんて見ないでしょう。今までも混雑緩和のための交通規制など、ギリギリのタイミングでの発信でした。それでは逆効果的に人が集まってしまいます」  現在渋谷区内に掲載されている「#集まらないハロウィン」広告は、渋谷区後援のもと始動している『HELLO! NEW HALLOWEEN! SHIBUYA』プロジェクトが作成している。同プロジェクトでは「毎日仮装気分を楽しめるように」とハロウィン柄のマスクも販売中だ。しかし岡本氏によれば、こういった取り組みも効果は薄いという。 「区は『渋谷に来ないでください、マスクで楽しみましょう』とマスク(1枚1650円)を販売しています。売上は寄付に充てられるようですが……マスク着用自体が日常になっていますからね。ハロウィンくらいマスク無しで仮装したい人や、マスク仮装はハロウィンじゃないという人もいるでしょう」  呼びかけやオンラインイベントの告知をしても、当日現地に人が集まる可能性は高い。「コロナ慣れ」が広まり人々の気が緩んでいる今だからこそ、ストレス発散したい人たちが集まるだろうと岡本氏は言う。
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渋谷区が対策を発表
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