酔っ払いのおっちゃんに絡まれる
久しぶりののんびりとした時間をしばし楽しんだところで配達アプリをオンにして配達を再開。巨大招き猫の設置された大須商店街のふれあい広場で待機した。が、配達リクエストは入らない。ふわッと大きなあくびが出る。
しばらくしてストロングゼロのロング缶を片手にひどく泥酔した様子のおっちゃんが僕に絡んできた。僕の足元に置かれたウーバーのバッグを見てこう訊いてくる。
「なんだ、おにいちゃん、ウーバーの配達やってんのか」
「そうです」
「これでどのくらいお金もらえるんだ?」
「めちゃくちゃ安いですよ」
「そうだろう。
こんな仕事をやってちゃダメだ。おにいちゃんはまだ20代だろう?」
「そうです(本当は40代なのだが)」
「ウーバーの配達なんてやってたら
結婚できないぞ。なんでこんな仕事やってるんだ?」
「うーん……」
そう訊かれると僕は答えに窮してしまう。
いったいどうして僕はウーバーの配達をやっているのだろう……。
名古屋で配達するならUber Eatsよりfoodpanda(フードパンダ)?
パンダのロゴマークの入ったピンクのバッグは街中でかなり目立つ
おっちゃんがいなくなってしばらくしてから
ピンクの四角いバッグを背負った男が自転車で僕の目の前を通り過ぎていった。Uber Eatsと同じフードデリバリーサービスの「
foodpanda(フードパンダ)」の配達員である。この名古屋で彼らの姿はUber Eatsの配達員と同じくらいの比率で目にした。
僕が宿泊しているゲストハウスの主人は宿泊業の合間にUber Eatsの他にフードパンダの配達もしていると話していた。フードパンダの報酬もUber Eatsと同じく配達の距離などによって決まるのだが、ひとつ
大きく異なる点がある。それは
1時間あたり1000円の時給保証がされているということ。1時間まったく配達リクエストがなくても1000円は支払われるのである。
シフト制なのでUber Eatsほどは自由に働けないというデメリットはある。が、この名古屋で1000円の時給保証はそれを遥かに凌ぐメリットに思えた。
しかし、だからといって、Uber Eatsからフードパンダに乗り換えようとは思わなかった。この旅はウーバーの配達だけで旅費を賄うと決めていた。誰かにそうしろと言われたわけではなく、自分でそうすると決めたのだ。だから、その理由なんてよくわからなくても、沖縄にゴールするまではウーバーの配達を続けるしかないのである。
所持金3万円、「Uber Eats」の配達で旅費を稼ぎながら東京から沖縄まで自転車で旅する筆者・小林ていじ
【23日目】
<支出>
食費:1645円
<収入>
2406円
残金:7193円
【24日目】
<支出>
食費:1255円
<収入>
4790円
残金:1万728円
【25日目】
<支出>
食費:2037円
名古屋城の観覧料:500円
合計:2537円
<収入>
2697円
残金:1万888円
<取材・文/小林ていじ>
バイオレンスものや歴史ものの小説を書いてます。詳しくはTwitterのアカウント
@kobayashiteijiで。趣味でYouTuberもやってます。YouTubeチャンネル「
ていじの世界散歩」。100均グッズ研究家。