話をNiziUに戻すと、諸外国に比べ、日本ではまだCDが売れているといいます。そこで、いまだにCDを買うのはどんな人たちなのかといえば、まさにアラフォー、アラフィフ世代。80年代や90年代のJポップコンピレーション盤が売れている事実からも明らかです。
そうした日本の状況を踏まえたうえで、改めて「Step and a step」を聞くと、とても理にかなっている。ちょうど彼女たちにハマる子供を持つ親世代の琴線にも触れる楽曲だからです。
タイトでシャープなサウンド処理でありながら、いい意味でのバタ臭さが、日本人の感性によく馴染む。世代をまたいで支持されるのもうなずけます。
このようにビジネスを仕掛ける国の事情を理解し、何が求められているかを冷徹に突き詰める。自分たちが売り込みたいものではなく、客が欲しがるものを提供する。
NiziUの成功から教えられる点は少なくありません。
<文/音楽批評・石黒隆之>