仕事

「テレワーク明け」の会社で起きたこと。社内の評価が逆転してしまった

コロナ禍の新入社員「出社して悪い面が見えた」

悩み 良い面があれば、もちろん悪い面もある。リモートワーク明けに「会社に絶望した」というのは、ピチピチのフレッシュマン、東京都内のPR会社勤務・芝原悠人さん(仮名・20代)だ。 「4月の入社式もリモートで、会社に行ったのは5~6回だけ。研修も、実際の営業や仕事も全てリモートで行ってきました。先輩も上司もすごくいい人たちばかりで、コロナで大変だけど、いい会社に入ったと喜んでいたんですよ」(芝原さん、以下同)  実際、会社にいかずとも仕事は可能で、人間関係も形成できた。夏頃には、リモート営業で初めての契約も取ることができ、サラリーマン人生は順調なスタートを切ったかに見えた。しかし……。 「9月から原則出社になって、今まで仲が良いと思っていた上司や先輩たちが、実はめちゃめちゃ仲が悪いことに気がつきました。ビデオチャット上ではわからなかったのですが、みんなの嫌な部分がリアルで見えた、的な。リモートでやっていた時のように仕事がうまく進まなくなり、上司から理不尽に怒鳴られることも」  こうして会社の「リアル」を目の当たりにした芝原さんと、新人同期の数名が、原則出社になってから1か月以内に退社。「リモートワークのままなら辞めていなかった」と今も嘆く。こうした価値観の違いは、新人だけが感じるものではない。  リモートワークの前後で、既存社員の意識が真っ二つに別れ、空中分解寸前だという現場も。

社内の評価が逆転、その結果…

「リモートワークって、仕事をする人としない人の差がモロに出ます。会社でやってたフリの人は本当にできなくて、会社でできないという烙印を押されていた人が、実はすごくできる人だったと評価が逆転することも珍しくなくて」  都内の化学メーカー勤務・鈴木伊都子さん(仮名・30代)は、リモートワーク実施の前と後で、社内の「仕事ができる人」のポジションが一変したと話す。  そして一変の末、新たな「できる人グループ」は、どんどん仕事に「デジタル」を取り入れていき仕事は効率化されたが、取り残される新たな「できない人グループ」が形成されたのだ。 「今まで社内で“できない”と馬鹿にされていた反動からか、新たな“できるグループ”が、新たな“できないグループ”に嫌がらせをするようになりました。労働組合も分裂し、社長や取締役が何とか仲を取り持とうとしていますが、お互いに敵視するばかりで仕事もままならない。DX化を進めていた上役でさえ、こんなことなら前のままでよかったと肩を落としています」(鈴木さん)  システムや方法は変われど、人間は変わらない。リモートワークで全てが良くなった、全てが悪くなった、ということにはならない。  いつの時代も物事は「是々非々」に動き、自然にあるべき形へと収斂されて行くのである。<取材・文/森原ドンタコス>
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