「テレワーク明け」の会社で起きたこと。社内の評価が逆転してしまった
新型コロナウイルス感染者の増加が止まらない。1日あたりの感染者数は毎日記録を塗り替えているほどだが、在宅勤務などの「リモートワーク」打ち切り、会社への通勤を再開した、というサラリーマンも多い。
「全く進まなかったDX(デジタルトランスフォーメーション)化が、一気に進んだことです。パソコンのキーボードを“かな打ち”していたような上司も、リモートワークをすることになり、必要に迫られてパソコンを覚えたようです」
こう話すのは、東京都内のプラスチック製品製造会社勤務・野間口誠二さん(仮名・30代)。社内には、いまだにパソコンでA4の書類すら作れず、手書きの「下書き」を部下に渡して、書類を作ってもらっていたという子供のような上司がゾロゾロいた。
覚えてくださいと言っても聞く耳を持たない。というより、業界的に古い慣習が色濃く残っていて、そういう上司を部下が支える、というのが当たり前の環境だった。
ところが、コロナ禍で出社が禁止されると、上司は部下に頼ることなく、パソコンを使って仕事をする必要に駆られたのだ。
「簡単な書類も作れなかった上司が、今ではチームス(マイクロソフト)を使ってビデオ会議をしたり、自分で作った書類をPDFにして部下に共有したりしています。一番驚いているのは当の上司たち。こんなに便利だなんて、もっと早く教えてくれよ、なんて冗談が飛び交っています。仕事も捗るし、職場の空気が一変しました 」(野間口さん)
まさに「習うより慣れろ」を体現した上司たち。コロナによる思わぬ「成果」が出た良い例であろう。
少しニュアンスは違うが次のような「良かったこと」も。横浜市内の自動車販売会社勤務・斉藤真理恵さん(仮名・20代)の証言。
「職場に、いわゆるお局上司(50代独身)がいて、若手をとにかくいびりまくり。そのせいで辞めた新人は、十数人とも言われていて、私も毎日、ネチネチ嫌味を言われました。ただ、仕事ができる人だったので、誰も逆らえなかったんです」(斉藤さん、以下同)
5月ごろ、コロナにより会社への出社が制限されると、お局上司にある変化が現れたという。
「会社でガミガミいって発散していたストレスを溜め込んだみたいで、精神的に病んでしまったようなんです。みんなザマアミロ、という感じだったんですが、何年も一緒に過ごしてきて情もある。同僚何人かでお金を出し合い、お菓子やコーヒーなどを自宅に差し入れしたんです」
その直後、斉藤さんに電話をかけてきたお局上司は、受話器の向こうで泣きじゃくっていたという。
「寂しかったの! って泣かれちゃいまして(笑)。リモートワークが終わってからも、今では牙を抜かれた動物のように、会社内でニコニコしながら仕事をしています。会社や人のありがたさを感じた、とほうぼうに言って回っているとか」
リモートワークのメリット・デメリットを考えた時、結果的には「出社した方が良い」と考える会社やサラリーマンがいかに多いか物語っているが「リモートワーク明け」の会社には、やはり以前とは違う空気が流れているという。
「リモートワーク明け」の会社で起きたこと
お局上司の性格が一変
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