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“Fラン”大卒の管理職は肩身が狭い?「大学は行ってなかったことに」

偏差値やネームバリューより「何を勉強できるか」

学校 確かに、算数ができない、アルファベットも書けないような人間が大学に行く意義など皆無に思えるが、それに真っ向から反論するのは、現役のFラン大生・吉川愛弓さん(20代・仮名)だ。 「幼い頃から興味のある分野があって。その研究分野の第一人者がいる今の大学に入学しました。高校の偏差値は68くらい。親や担任から、この学校はやめたほうがいいと言われましたが、私にとっては偏差値とかネームバリューより、何を勉強できるかが重要。  確かに、いろんな学生がいるのも事実ですが、好きな勉強ができているのでストレスもない。日本はいまだに偏差値重視です」(吉川さん) 「Fラン大に通っている」「Fラン大出身」というレッテルだけ見て反応するのは、本質を見ることができないと自白しているようなもの、なのかもしれない。

Fラン大学から国立大学院に「あの時、Fランに入れたからこそ今がある」

 有名国立大学大学院出身、現在は超一流国立大学の薬学系研究室に籍をおき、日夜研究に励む所正一郎さん(30代・仮名)が指摘する。 「私自身、地元の適当な工業高校に進学し、大学なんか行くつもりもサラサラなかった。高2の冬、父が難病にかかり仕事を辞めざるを得なくなった。しかし、その頃開発された薬で劇的に良くなり、薬に興味を持ちました。工業高校だったけど、なんとか薬学系の勉強をしたいと担任の先生に相談して」(所さん、以下同)  通っていた高校の偏差値は40程度。Fラン大の受験にも失敗してしまう可能性があったが、英語や数学など、中学の参考書からやり直し、Fランの理系私大になんとか合格した。 「何より重要なのは、勉強がしたいと思った時に、勉強ができる場所があること。あの時、Fラン大がなければ、私のレベルでは入れる大学がなく、勉強を諦めていたはず。どんなレベルからでも勉強ができる環境があること、それがFラン大の存在意義で、無くしてはいけないんです」  そんな所さん、陰ではFランだと馬鹿にされながらも、懸命に勉強し国立大の大学院に進学。東大や京大出身の仲間たちとともに研究に励み、もはや所さんを「Fラン」と笑うものは誰もいないという。  Fラン大をなくせ、という風潮は再出発、再チャレンジができない世の中に突き進んでいくことではないのか。日本の学術現場から、もう二度とイノベーションが産み出されない、そんな悪夢が現実になる可能性すらある。<取材・文/森原ドンタコス>
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