仕事

「コロナ対策」は形だけ、緊急事態でも走り続けるしかない中小企業の現実

まるで意味ナシ、形だけのコロナ対策

消毒 衝立や消毒液の設置もなく、コロナ前と変わらない“密状態”で仕事をしていたが、会長の“見回り”情報がもたらされると、社員の半分ほどに「外に営業に出ろ」と所属長から指令が出たという。一見すると、社員の半分が出社していない状態を“演出”させられたとも話す。 「会社の入り口にはその日だけ、消毒液が置かれていました。もちろん社員は不安だし不満ですが、コロナ禍以降、ネット広告の出稿量が増えていて、正直いまは休むわけにはいかない。コロナうんぬんよりも、石にかじりついてでも契約をとってこいと、ハッパをかけられているような状態です。一部の社員が保健所や役所に通報していますが、まるで取り合ってくれないと言います」(野老さん)  コロナ禍による、ある意味“バブル”とも言える恩恵に預かる会社では、もはや「感染」自体が問題として捉えられなくなってさえいる。

感染中もリモートで仕事を続けざるをえない

体調不良 首都圏の物流会社勤務・吉川良平さん(30代・仮名)は、自身がまさに感染中にもかかわらず、仕事を続けざるをえないという。 「通販需要の増加で、扱い件数は右肩のぼり。コロナなんか関係ない、今がチャンスだと社員が一丸となって頑張っていましたが、昨年末に私の感染が発覚。所属長に報告して、出社するなとは言われましたが、リモートワークで仕事は変わらず続けています。上司は『症状がないのなら仕事しろ』と。たしかに、体が少しだるいだけなので仕事はできますが、家族からは猛非難をくらっています」(吉川さん)  感染者が珍しくなくなった今。一年前はあれほど恐れられていた「感染」に対する感覚が麻痺してきたのだろうか。人命の安全よりも「経済が優先」という感覚は、政府や権力者だけでなく、小さな会社のトップやリーダーたちにまで刷り込まれてしまっているのかもしれない。<取材・文/森原ドンタコス>
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