「コロナ対策」は形だけ、緊急事態でも走り続けるしかない中小企業の現実
「年末に隣の部署から感染者が二人出て、年明けには私の部署からも一人出ました。濃厚接触者も多数いると思われるのに、会社は検査を促すどころか、社員一人一人を個別に呼び出し、他言無用だと釘を刺しているのです」
こう話すのは、東京都内の不動産会社勤務・坂下真由さん(30代・仮名)。新型コロナウイルスの感染者が再び増加し、大都市圏を中心に緊急事態宣言が発出。東京では1日の感染者数が2000人を超えると、身近な人が「感染した」という話も珍しくなくなった。
「大きな会社ではありませんから、一人ひとりの業務量が多いことも原因ですが、部署の三人も休まれると、業務はたちまち回らなくなる。部長も『コロナは怖い』と口にしながらも、同業のライバル会社が稼働しているうちは業務を続けるしかないと言っています」(坂下さん)
実は、そのライバル会社でも感染者の存在が発覚しているのだが、今も普通に営業しているそうだ。3月の決算も近く、売上では負けていられないという「チキンレース」の様相を呈している、というのが坂下さんの見解である。
一部の大企業では、政府や自治体の要請に応じる形で、社員の多くが「テレワーク」に移行しているとも伝わっているが、中小・零細企業では、そんなことは「戯言」として捉えられているという現実もある。
Web広告代理店勤務・野老隆さん(20代・仮名)も、社内に少なくとも二人のコロナ感染者が出たが、会社がその事実を「隠蔽」しているのだと訴える。
「昨年の緊急事態宣言後は、社員の半分をテレワークにするなどしていましたが、秋以降はほとんど出社体制。2回目の緊急事態宣言下に入った今年、社員二人のコロナ感染が発覚しましたが、会社のトップである会長にはまだ報告がされていないんです。そんなバカなと思いましたが、数日前に会長が“見回り”にやってきて、みんな元気でやっているな、という感じでしたので、本当に知らないようです」(野老さん)
坂下さんの会社でも、複数社員の感染が発覚しているが、それでも会社は出社する社員を減らすなどの「対策」を取る気配が一向にないという。いったい、なぜなのか?
発覚しても「休業できない」中小・零細企業の現実
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