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「マスクしろブス女」ウイルスよりもタチの悪い“ネット版自粛警察”の猛威

SNSをやめるしかない

マスクなし 都内在住の私大3年・吉川陽菜さん(仮名・21歳)のSNSにも最近、ネット版「自粛警察」からの誹謗中傷が相次いでいるという。吉川さんはリアルの世界で「自粛警察」がいることは知っていたが「それよりもタチが悪い」と感じている。 「コメント欄で言い合いになっていた時、私の別のSNSアカウントにも誹謗中傷が書き込まれました。さらに、私がアップしていた写真に写っていた友人のアカウントにも嫌がらせのダイレクトメールが届いたそうです。自粛だなんだと他人に言う前に、自分の生き方はどうなんだって感じです。ブロックしたり運営に通報したりもしましたが、防げない。気持ち悪すぎて、もうやめるしかありませんでした」(吉川さん)  SNSならば誹謗中傷をしても身元は特定されづらいだろう、そんな甘く短絡的な考えから、ネット版「自粛警察」は増殖している向きさえある。

芸能事務所の悩みの種に

 都内の芸能事務所関係者も頭を抱える。 「番組に出演していた弊社のタレントについて、マスクをつけていないだの出演者が密になっているだの電話やメールでクレームを入れてくる人たちが一定数います。いちいち向き合っていられませんが、SNSでやられるとツラい。  タレントがファンとの交流のために投稿のコメント欄やリプライ(返信)を開放していても、そういう連中のせいで台無しになる。本人には相手にするなと伝えていますし、ある程度は熱心なファンが守ってくれることもありますが……コメント欄でファンとの間で喧嘩が起きたり、荒れている様子にタレントが病んでしまうこともあります」(芸能事務所関係者)  止まるところを知らない「自粛警察」の猛威。本家ウイルスよりもタチが悪く、人々の心や社会を蝕む存在。有効な“ワクチン”の開発が急がれる。<取材・文/山口準>
新聞、週刊誌、実話誌、テレビなどで経験を積んだ記者。社会問題やニュースの裏側などをネットメディアに寄稿する。
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