更新日:2021年02月20日 18:20
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西成に来る迷惑系YouTuberに地元住民が困惑…無許可で撮影される男性も

 大阪市西成区萩之茶屋。日本最大の日雇い労働者の街ともいわれる、通称あいりん地区。ここ数年は、外国人バックパッカーの増加とともにゲストハウスが増え、街の雰囲気も大きく変わってきている。そんな西成に近年、YouTuberたちが多く訪れているという。
西成

大阪・西成

 街の雰囲気を撮影するだけならまだしも、中には無許可で店内に入ったり、近隣住民を勝手に撮影するなど迷惑行為を働くYouTuberも多くいるという。そんな迷惑者に対して、地元の住民たちは困惑している。

自撮り棒を持ちながら「ここが有名な◯◯です~!」

 訪れたのは地下鉄動物園前駅。立ち飲み形式のホルモン屋で地元客のみならず、カップルや女性客の姿も。地元の常連客という女性に話を聞いてみた。 「ここ最近、YouTuberの存在は一気に増えたような気がします。もう、店に近づいてくる時点で分かるんですよ。自撮り棒を持ってスマホで撮影しながら『ここが有名な◯◯です~!と言いながらやって来るので。ここのホルモン屋は看板を撮影するのはOKなのですが、店内での一切は撮影禁止。店員はもちろん、お客さんも撮られたくないだろうし、店側としても配信されてさらに店が混雑するのが嫌なのだとか。  なので、YouTuberが来ると『撮らんといて!』と女将さんが注意しています。彼らもさすがに怒られると撮影をやめて、大人しく食事して帰っています。もう1つ、商店街の中に有名なホルモン屋があってそっちはYouTuberを歓迎しているそうです。朝から多くの人が並んでいますね」

西成に20年以上暮らす60代男性の声

萩之茶屋南公園(三角公園)

萩之茶屋南公園(三角公園)

 やはり、迷惑YouTuberの存在は地元住民を困惑させているようだ。続いてやってきたのは、あいりん地区の中心ともいえる萩之茶屋南公園(通称:三角公園)。路上に座って酒盛りをしている、あいりん地区に20年以上暮らしているという60代の男性に話を聞いた。 「別に撮影するのは全然いいのよ。その代わり、酒の一杯でも奢るのが人としての礼儀なのじゃないのかと。だが、アイツら(YouTuber)はただ三角公園に野次馬気分で来てワシらに許可も取らずに勝手に撮影しているだけ。中には話しかけてくるのもいるけどさ、意味もない雑談ばかりで西成の何を伝えたいのかがまるで分からない。ワシらに仕事を与えるなど国に訴えかけるような撮影なら協力してもいいが、アイツらはPRが下手すぎる。アイツらが来てもワシらには何の得にもならないし、配信されることでさらに面倒な野次馬が増えるだけや」  男性が言うように、取材中も「西成に遊びに来た」というような若者の姿を多く見かけた。
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最低限のマナーを守って撮影を
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東京都出身。20代を歌舞伎町で過ごす、元キャバ嬢ライター。現在はタイと日本を往復し、夜の街やタイに住む人を取材する海外短期滞在ライターとしても活動中。アジアの日本人キャバクラに潜入就職した著書『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イーストプレス)が発売中。X(旧Twitter):@ayumikawano

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