炎上系YouTuber「月収は13~14万円」。リスクのわりに稼げないのに彼らが“動画の投稿を続ける”ワケ
今年7月に行われた奈良市議選で、元迷惑系YouTuber・へずまりゅう氏の当選が物議を醸したことは記憶に新しい。
スーパーで代金を払う前の刺身を食べ、YouTubeに投稿して逮捕されるなど、数々の問題行動を重ねてきた同氏。その人物が市議の座に就いたことで、「奈良終わった」「奈良市民として恥ずかしい」と嘆く声が噴出した。
一方、上記のような批判をよそに、へずま氏のXの投稿には何万ものいいねがつき、支持層が厚いことも伺える。
まさに“悪名は無名に勝る”を体現したへずま氏だが、いわゆる「炎上系YouTuber」と分類されるインフルエンサーらは、なぜ批判に晒されながらも信者を生み出すのか。そして意外と知られていない彼らの実態とはーー。
著書『炎上系ユーチューバー』(幻冬舎)を上梓した、ジャーナリストの肥沼和之氏が語る。
盗撮や痴漢魔、転売ヤーに突撃して、現行犯で身柄を拘束し、警察に引き渡すまでの一部始終をアップする「私人逮捕系YouTuber」。犯罪者を懲らしめる社会正義を後ろ盾に、過激なコンテンツを発信して再生数を稼ぐ、炎上系YouTuberの一種として知られる。
彼らが投稿した動画のコメントには、「犯罪抑止になる」「痴漢に遭ったことがあるので感謝してる」「悪人が制裁されてるの痛快」といった支持する声が確認できる。
一方で、容疑者と思われる人物を、逃げないよう羽交い締めにしたり、証拠確保のためスマホを奪おうとしたりと、一線を超えた介入に否定的な声も見られる。「暴行罪だろ」「ただの炎上商法」「見世物にしてるだけじゃん」といった指摘も多い。
こうして賛否が溢れながらも、いや賛否を浴びれば浴びるほど、私人逮捕系YouTuberは肥えていく。100万回を超えるコンテンツも散見されるなか、意外と彼らの素性は明かされていない。
彼らは自身の活動についてどう感じているのか。当事者たちに取材した肥沼氏がその温度感を語る。
「今回、本の執筆にあたり、痴漢撲滅系の『スーパードミネーター(2023年取材当時の活動名)』、マルチ商法組織などに突撃する『KENZO【新宿109】』、犯罪撲滅活動家を自称する『フナイム氏』、計3組の炎上系YouTuberに取材しました。
そこで3組ともに『今の過激な撮影方法は最適だと思うか』という質問をしました。わざわざ動画に収めて盗撮や痴漢魔を晒したり、流血するほどの暴行につながったりすることを考えると、もっと穏便なやり方があるのではないか。例えば、駅で『痴漢をしたら人生が終わる』とプラカードを持てば、大事ならず抑止も働くのではないかと尋ねたんです。
そしたら3組とも『今のやり方が間違っているとは思わない』と答えました。動画にして晒すほど強引にしないと、痴漢やマルチ商法は撲滅しない。また動画にして拡散することで、多くの視聴者が見て注意喚起や啓蒙につながるというのが彼らの主張です」

肥沼和之氏
賛否を浴びれば浴びるほど肥えていく
「間違っているとは思わない」と主張するワケ
1995年生まれ。大学卒業後、競馬会社の編集部に半年ほど勤め、その後フリーランスに。趣味は飲み歩き・散歩・読書・競馬
記事一覧へ
記事一覧へ
【関連キーワードから記事を探す】
この記者は、他にもこんな記事を書いています




