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オフィスの雑談に隠された本音×建前バトル

本音で語り合う――素晴らしい、と思う。が、こと職場においては“建前”が無用な軋轢を避け、仕事を円滑に進める潤滑油ともなるのも事実。上司⇔部下の会話に隠れる本音を酌みつつ、言わぬが花が大人のコミュニケーションだとも思うのだ

◆朝の挨拶、飲み会でも油断は禁物!

雑談に隠れる建前本音イラスト「ビジネススキルとしては、知識はもちろんですが、ポジティブな根回し力が大事です。そのためにはインフォーマルコミュニケーションは大事です」(人材育成のプロ・前川孝雄氏)

 というように、意外と侮れないのが職場のちょっとした会話だ。

「最近の20代は男でもお洒落。ロン毛を立ててわざとボサボサにスタイリングしたり営業的にどうよ……というときは、『その髪形、はやってるの!?』とやんわり警告。同じく女性には『そのネイルかわいいね』と言いますね。大体、皆、『スイマセン!』って気づいてくれますよ」(40歳・男・メーカー)

 しかし、多くの場合、上司⇔部下の本音は通い合わないもので。

 朝、夜通し仕事をしていたと思しき部下に「徹夜なんて大変だね」と声をかける上司の本音は、「ねぎらう気持ちはなくはないが、もう少し効率よく仕事をしてもらいたい」(39歳・男・金融)。

 そう言われた部下だって、「あれ。早いな泊まり?」と聞かれて「いえ、帰ってますよ」と涼しい顔で答えたとしても、そこには、「とっとと帰って、のんびり出社するくせに、のんきにそんなこと聞くなよ」(31歳・男・広告代理店)という思いが見え隠れする。

 仕事量と、その見返りは反比例。その不安と不満が殺伐としたやりとりを生んでいるのだろうが……。

 毎日、激務に追われる男性(34歳・広告代理店)。22時すぎ、帰り支度をする上司に「今日泊まり?」と聞かれれば、「いえ、終わり次第、帰る予定です。どうなるかわかりませんけど」と答えるが、そこには「見りゃわかるだろ。この仕事量じゃ、泊まりだよ!」という憤りが充塡されている。建前に隠して爆発したら意味がない気も。

 “飲みニケーション”でも建前と本音の攻防は続く。付き合いの苦手な最近の若者。上司に誘われ「仕事が早く終わったら後から行きます」はお断りの常套手段。

 さらに上手は、「休日の夕方、先輩から明らかに飲みの誘いの電話が入ったら、『めちゃくちゃ行きたいんですけど、今、用事があって……22時くらいでもいいですか?』と言うんです。もちろん飲みに行く気はなく、先輩も諦めて!という意味で」(26歳・男・サービス)。

 そんなわけで上司も、「別に飲み、来なくてもいいよ」と逃げ場をつくってあげる気の使いよう。

 しかし、そこには、「仕事も忙しいだろうし、無理してまで付き合わなくていいというのは本心なんです。でも、それでも来てくれるヤツは、やっぱりかわいいし、目をかけてやろうと思う」(36歳・男・広告)気持ちがあったりもするからややこしい。

 言葉のひとつひとつの裏を探りだしたらキリはない。「建前は本音で話せる関係を築くための手段」という目的からも本末転倒。

 結局のところ、コミュニケーションは状況と関係性によるもの。疑心暗鬼にならず、本音×建前はうまく使っていきたいもの。こんなご時世なのだから。

⇒まだまだある「雑談に隠れる建前⇔本音」
http://nikkan-spa.jp/171645

【前川孝雄氏】
FeelWorks代表取締役
『リクナビ』編集長などを歴任後、リクルートを退社。人材育成・組織活性化コンサルティングに従事。青山学院大学兼任講師も務める。最新刊『働く人のルール』(明日香出版)

イラスト/StudioCUBE.
― 上司×部下[本音⇔建前]翻訳辞典【6】 ―

働く人のルール

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