仕事

銀座高級ホステスがテレアポ営業に挑戦、月収80万円稼げたワケ

人脈を最大限に活かして手取り80万円

高橋一美 仕事内容を大まかに説明すると、一般企業にテレアポを行い、実際に訪問、あるいはリモートなどで転職サイト「キャリオク」「イーキャリア」の求人枠を売る。報酬は“完全歩合制”。高橋さんはすぐに見込み先のリストをまとめ、手取りにして1か月目で30万円、2か月目には80万円を稼ぎ出した。そして、今年1月いっぱいでホステスの仕事を引退することになった。 「銀座のお客様のご縁のおかげです。今年1月は休業状態だったので実質的に昨年12月いっぱいで私は退店しましたが、昼と夜の仕事を並行してやることで、実際どちらの営業にもなりました」  昨年、新型コロナウイルスが感染拡大すると、多くの会社では飲み会や接待などが禁止されていたはずだ。そんななか、ホステスたちは「飲みに来て」とも言えない状況。  一方、高橋さんは常連客に対して、昼の仕事も始めたことや、転職サイトの求人枠を売っていることなどを近況報告がてら連絡した。すると、商談につながることも多かったのだ。ホステスのトップ層は顧客管理なども徹底的に行なっているイメージもあるが、そうした普段の関係づくりが昼職の結果にも結びついたのだ。 「流石に大企業の役員さんとかになると難しいと思うんですが、中小企業の社長さんや会長さんといった決裁者の方へ、ダイレクトにお話しできたので売上が立つのは早かったです。普段からお客さんとはマメに連絡をとって関係性が築けていたので、その延長で私が求人営業のお仕事を始めた話もできました。  しばらく経って、少しコロナが落ち着いたタイミングで、お店のほうにも『高橋さんのおかげで採用決まったよ』と報告を兼ねて飲みに来てくれる方もいらっしゃいましたね」  前述のように、高橋さんは20代の時にコールセンターでテレアポの経験もあるそうだが、数ある接客業のなかでも水商売は初対面の人と会話をする機会が多い仕事だけに、“コミュニケーション力”が大きな強みとなっている。とはいえ、水商売との違いもあるという。 「同じコミュニケーションでも、水商売が来たボールを打ち返すテニスだとすると、昼職の営業は止まっているボールを打つゴルフ。  店では来てくれたお客様に対して接客するけど、テレアポは自分から相手の懐に飛び込んでいかないといけない。慣れるまでは、難しいと思いましたね。電話だと声だけなので。お互いの表情が見えない。だから私は、なるべく相手の表情を想像しつつ、オーバーリアクション気味に声を出すように意識していますね」

自分を売り込むキャラ営業が武器

高橋一美 昼の世界でも成績をあげられた要因にかんして、高橋さんが続ける。 「電話のアポで断られることはしょっちゅうなので、物怖じしないメンタルは大事ですね。困難さえも楽しめるような。あと、臨機応変に対応する瞬発力は水商売の現場でだいぶ鍛えられたと思います。  シャンパンをお願いしてみたら意外と聞いてもらえたという経験もあるので、水商売の“言うだけタダ”みたいな精神もベースにあるのかな」  対面のコミュニケーションに苦手意識を覚える若手会社員も少なくないだろうが、まさに水商売の世界は究極の感情労働と言える。 「水商売セカンドキャリアプロジェクト」を立ち上げた井上氏は、「商品・サービスを間に介さず、自分自身を商品として売り込むことが、水商売と普通のサービス業や接客業との最大の違い」と説明する。 「水商売の人たちはネガティブな理由をつぶしながら、相手の心を解きほぐす応酬話法が鍛えられているんですね。本人は自覚していなくても、お客様から『もっとカワイイ子つけてよ~』みたいなイジワルを言われた時の対応を磨き上げることが毎日の習慣になっていて。  ある程度そういう絡みにも耐性があるし、相手に変な苦手意識や恨みつらみも抱かず、上手に切り返せる。なので、『はじめまして』の状態から『お前、おもろいな』『あんたが言うなら買うわ』と、自然と可愛がられるような関係づくりが得意な人が多い。商品やサービスの差別化が難しい時代には、重宝される力だと思います」(井上氏)
井上敬一

元関西ナンバーワンホストで現在は実業家の井上敬一氏(左)と高橋一美さん

 現在、テレアポ業務は基本的に自宅で行っているという高橋さん。仕事スイッチを入れるためには少し気合が必要らしく、時間管理が最近の悩みだとか。  ホステス引退後の今も安定した収入を得られているのだろうか? 「コロナの影響で中途採用をストップしている企業も少なくないし、正直、収入の増減はありますね。とはいえ、募集しているところはあるので、そこは自分次第ですね。まずは、アポを取らないことには始まらないし、アポを取るにはたくさん電話をかけないといけない。そこで、気が重いと思うのか楽しいと思うのか、ですよね。  今後は、ひとつの職場や会社に縛られず、複業のようなかたちでいくつか並行して働くことに興味があります。いまのお仕事を軸にいろんなことにチャレンジしたいです」(高橋さん) <取材・文/伊藤綾、撮影/長谷英史、編集/藤井厚年>
1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。Twitter:@tsuitachiii
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