エンタメ

フワちゃん、伊集院光とのバトルで見せた「タレントとしての恐るべきスペック」

“アホらしい”伊集院光とのバトル

 伊集院は4月5日放送の「JUNK 伊集院光・深夜の馬鹿力」(TBSラジオ)にて「フワちゃんは、非常識ぶりを売り物にしているが、実際は朝の情報番組のコメンテーターを務める世間に認められた成功者であり、彼女は世間が求める、礼儀知らずのキャラを演じているに過ぎない。そんなフワちゃんに、常識を諭した方が無粋だとなる世間の風潮が気持ち悪い」と評した。
JUNK 伊集院光 深夜の馬鹿力

TBSラジオ公式サイトより「JUNK 伊集院光 深夜の馬鹿力」

 それに対してフワちゃんは「自分に対する苦言ならまだしも、世間の風潮に対する分析をされても(伊集院光と)プロレスもできない」と反論した。  さらに、伊集院の「最近のフワちゃんの常識破りな行動と言えば、落語の林家一門の新年会に訪問したロケで、海老名香葉子を本気で怒らせたことだけだ」と言う発言に対しては、「私は朝の番組で乳首を出した。乳首よりも香葉子を怒らせたことを上だと評価するのは、サブカルが過ぎる! 私はちゃんと伊集院に、乳首でエンタメを提供した!」と反論(笑)。  なんちゅうアホな会話だ。しかし私はここに彼女の強い決意を、見せつけられた想いがした。アホらしければアホらしいほどその決意の強さが際立つ。彼女は明確な意思を持って、世間と戦って(プロレスをして)Bad Reputation(悪評)を集めているのだ。事実ネットの彼女に対する書き込みを見ると、伊集院光の評価とは反してBad Reputationばかりだ。

「伊集院ぽくなったらごめんね」の真意は?

 少し前にサンドウィッチマンが好感度ナンバーワンタレントであることの居心地の悪さを語っていた。タレントにとって好感度の高さは、消費されることの早さとも言えるだろう。エンタメの基本は「Bad Reputation」だ。縁日の出し物で、世にも恐ろしい「化け物の館」はあっても、親孝行息子による「肩たたきショー」などありえないのだから。  話が前後するが、最初にフワちゃんが、伊集院光を怒らせた原因は、記者会見で「伊集院が歯食いしばって『オモロすぎて悔しい』って思いながら聴きたくなるような、そんな伊集院光の姉妹番組として頑張っていきたいと思います」と言い、その後インタビューで「案外、伊集院ぽくなったらごめんね」と言ったからである。
 特に怒ったのは後者の方だろう。これではまるで伊集院のラジオがつまらないと言っているようで、伊集院光が怒るのも当たり前だ。ただフワちゃんが言いたかった事は、伊集院光はラジオメディア全体の顔であり、彼の番組は正統派であり、パンクを目指す自分のラジオが、普通だったらごめんなさいという意味だったと思われる。しかしこちらの方が、伊集院光にとって「自分を権威の枠に押し込むな」と言う反発心があったのかもしれない。  今回この件に対して伊集院光が黙っていたら、本当に余裕をかました「権威」に見えたことだろう。しかし伊集院光はきっちりとフワちゃんに反論した。伊集院光は本当に怒っていただろう。しかし「フワちゃんの常識破りな行動と言えば、海老名香葉子を怒らせたことだけ」と語っていた伊集院光は、なんだか愉快そうで、さらに「あんな外面の良い林家一門が」など、これに乗じて林家一門をディスっていた(笑)。伊集院光は、案外軽~くだけ、フワちゃんのいうところのプロレスに付き合ったようにも思える。  いずれにしても私は、この件でフワちゃんのタレントとしての恐るべきスペックを再確認したのだった。
1968年生まれ。構成作家。『電気グルーヴのオールナイトニッポン』をはじめ『ピエール瀧のしょんないTV』などを担当。週刊SPA!にて読者投稿コーナー『バカはサイレンで泣く』、KAMINOGEにて『自己投影観戦記~できれば強くなりたかった~』を連載中。ツイッター @mo_shiina
1
2
おすすめ記事