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あまりに強すぎる阪神優勝の現実味は? 過去の栄光を知る新旧OBが解説

「個人の成績なんかで一喜一憂しとったら優勝なんかできへん」

野球

セ・パ交流戦のゆくえが大きくリーグ制覇、優勝を左右する。ここ数年、阪神は交流戦で失速することが多かった。5月から始まる交流戦でどこまで戦えるかが、阪神優勝のカギを握ることになるだろう

 巨人の「ミスター・パーフェクト」こと槙原寛己から放ったバース、掛布、岡田のバックスクリーン3連発など、数々の伝説を残して日本一に輝いた’85年の黄金時代を知るOBはどう見ているのか? 「代打の切り札」として優勝の立役者となった阪神OB会長の川藤幸三氏が話す。 「ホームラン王争いや新人王など騒がしいが、個人の成績なんかで一喜一憂しとったら優勝なんかできへん。確かに、野球は個々の勝負やし、強いチームは当然個人の数字もいい。でも優勝するチームはそれだけではない。文字通り、打線が“線”でつながっている。今の阪神がそう。開幕当初は調子があがらなかった1番近本、4番大山を2番糸原、3番マルテ、5番サンズが補っていた。マルテは選球眼の良さでフォアボールを選んでチャンスを広げることもでき、大山が打てなくても、サンズが走者をかえす」  6番は怪物ルーキーの佐藤外野手。4月23日、DeNA戦の守備では、満塁の場面で打者走者まで生還するエラーを犯したが、24日はお返しとばかりに2打席連続満塁で適時打、25日は先制2ランを放った。 「あんなエラー、どうってことないわ。エラーの1つや2つ気にしとったら、野球なんかできるか。あれだけ注目されているなかで、結果を残すのは大したもの。相手ピッチャーも『ルーキーになんか打たれるか』と意気込むから、佐藤を抑えても、気が緩んだところに次は得点圏打率が6割超の7番梅野が待っている。そして8番にもルーキーの中野が出てきた」

立ちはだかるのは宿敵・巨人だけではない

 一方、心配もある。プロ9年目で初の開幕投手を任された藤浪晋太郎投手は4月23日のDeNA戦で、5回途中、7四死球4失点で降板。今季初黒星とはいえ、これまで登板した5試合で四死球を5つ以上と、コントロールが安定せず、2軍で再調整となった。 「ここ数年はもがいてもがいて苦しんでいる。昨年は中継ぎも経験し、直球で162㎞を出した。それで今年は磨きのかかったストレートで勝負ができていた。これまでの藤浪とはちょっと違う姿を見せている。調子は悪くない。長いシーズンで、うまくいかないときもあるのが野球や」(川藤氏)  さらに今年は大きな壁も立ちはだかる。 「交流戦、東京五輪、そして新型コロナ。苦手な交流戦を勝ち抜いても、7月は東京五輪で試合中断や。どれだけ調子がよくても、潮目が変わるかもしれない。そしてもし選手がコロナに感染したら、一気に戦力ダウン。今年のペナントレースほどわからんものはない。それだけに一試合一試合を丁寧に腹決めて戦わんとあかん」(川藤氏)  まだVロードへの歩みは始まったばかり――。 <取材・文/週刊SPA!編集部> ※週刊SPA!4月27日発売号より
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週刊SPA!5/4・11合併号(4/27発売)

表紙の人/ 窪塚洋介

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