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コロナ禍で借金や整形、ホストに堕ちた学生が“普通の日常”を恐れるワケ

コロナ禍で借金や整形、ホストに堕ちた専門学生

ホストクラブ 最後は、新生活をコロナ禍とともにスタートさせたという、都内在住の専門学校生・本多さやかさん(仮名・20代)の訴えだ。 「昨年の3月に東北の地元から上京したんですが、コロナのせいで入学式も授業もなく、働く予定だったバイト先も休業に追い込まれて。調理師になるための学校だったので、実技の授業は全く受けられず、ほとんどやることがありませんでした」(本多さん、以下同)  暇を持て余した本多さんがハマってしまったのは、マッチングアプリだった。家族も友人もおらず、かといって実家に帰ろうとすれば「東京からは来るな」と親に拒絶され、寂しい思いをしていた本多さん。  マッチングアプリで知り合ったのは、ホストの男性だった。 「最初はホストだと知らなくて。1回会って食事をごちそうになり、その後『実はホストで』と打ち明けられました」  緊急事態宣言中、客が来なくなったホストクラブのホストたちは、あの手この手を使って客を呼び込もうとしており、マッチングアプリを使う「手法」も、珍しいモノではなかった。 「恋愛関係をにおわせてホストだと白状し、女性を店に呼ぶんです。仕方なく行ってみると、最初と2回目までは男性が全額出してくれて、本当に楽しかったんです。田舎者だし、きれいでかっこいいホストにチヤホヤされて嬉しかった」  そんな“罠”に本多さんは引っかかってしまったのだ。これはホストの「常套手段」。最初だけは客には一銭も支払いを要求せず、とにかくホストがもてなし攻勢をかける。  女性客はその楽しさにハマり、後戻り出来なくなった頃には、金を借りてでもホストに行かなければならないという焦燥感に駆られる。 「来店が5回目になる頃には、カードのキャッシング枠を現金化してまで通うようになりました。それでもすぐお金がなくなるから、キャバ(キャバクラでのアルバイト)を始めましたが、お客さんもいないし儲からないし……」

普通の日常では、変化した自分が悪目立ちする

 結局、上京から1年も経たずしてパパ活や風俗店に勤めることでなんとかホスト代を捻出するようになった本多さん。追い込まれたがゆえに「コロナ禍が続いて欲しい」と願う。 「正直、借金もあるし、整形もしちゃったし、再開した学校にも全く行っていません。1年前に戻れるなら戻りたいけど、このまま普通の日常が戻ってきたら、私は本当に終わりなんじゃないかって。コロナで世の中がバタバタしているうちは、なんとか私も目立たずに過ごせる気がするんです。今の状態じゃ気まずくて親にも会えません」  コロナ禍という厳しい現実がたとえ終わったとしても、その先に待っているのはさらに厳しい現実。だとしたら、このままコロナ禍が続いたほうが幾分マシ……。そう考える人は意外と少なくないようだ。 <取材・文/森原ドンタコス>
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