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スケボーやサーフィンに「子供よりも自分がハマった」中年たち

 埼玉県内のスポーツショップで陳列されている「スケートボード」を熱心に品定めする中年男性。その傍らには、小学生ぐらいの子どもの姿があった。 「正直、以前はスポーツというより、若者が深夜に音を立てて遊んでいるような。あんまり良いイメージはなかったんですけどね」  史上最多のメダルラッシュに沸き、興奮のうち閉幕した東京五輪。なかでもとりわけ注目されたのが、スケボーやサーフィンなど、東京大会で初採用された「アーバンスポーツ」とも呼ばれる競技だ。スケートボードで堀米雄斗や西矢椛、四十住さくらが金メダル、サーフィンでは五十嵐カノアが銀メダル、都筑有夢路が銅メダルを獲得。
堀米雄斗

スケートボードで金メダルに輝いた堀米雄斗選手<代表撮影:雑誌協会>

 そんな東京五輪のおかげでボードなどを扱うスポーツショップの売り上げは好調だというが、テレビの前で競技を見て影響されたのは、子どもたちだけではない。 【参考記事】⇒東京五輪スケボーの影響、ムラサキスポーツ「売り上げは好調です」

アーバンスポーツにハマる中年たち

 冒頭の会社員男性・中本将太さん(仮名・40代)は当初、スケボーを快く思っていなかったという。ところが、なんとなくテレビをザッピングしていた時に偶然見かけたスケボー選手の滑り、そして何より、若い選手たちがお互いを称え合いながら楽しんでいることに、感激のあまり、胸が苦しくなったという。  女子パークで惜しくも4位となった岡本碧優。彼女は難しいトリックに挑戦した結果、転倒してしまった。涙を流しているところに各国の選手たちが集まり、担ぎ上げたのだ。  それは、あらためて「スポーツ」や「オリンピック」の意味を問いかけるものだった。 「国も性別も年齢も関係なく、眩しすぎるくらい爽やかでした。子どもは大興奮で、結局こうしてスケボーを買いに来た、というわけです」(中本さん)

当初は斜に構えて東京五輪を見る人も多かった

 コロナ禍で開催された東京五輪。国民には外出自粛が呼びかけられ、あらゆるイベントが中止を余儀なくされるなかで、東京五輪だけが特別扱いされているのは明らかだった。各国の政治的な思惑、スポンサーのお金が絡んでいるのではないかと、アラフォーの筆者のまわりでも斜に構えて見ている人は少なくなかった。  開催前は「アーバンスポーツもそのひとつではないか」と口にする知人もいたほどだが、実際に東京五輪で競技を目の当たりにして、衝撃を受けたという人も多い。
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「サーフィンだけは絶対にするな」と言っていた父親が…
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