お金持ちはコロナ禍をどう過ごしたのか。今こそ「次への準備期間」
ようやくコロナ禍に「終わりが見えてきた」というのが庶民の本音だろう。行楽地やショッピングモールに人が押し寄せていることが、その全てを物語っている。庶民がこの有様なのだから、アッパークラスの富裕層は、待ちに待った海外旅行にでも飛び出しているのかと思いきや、そうでもないらしい。
今回は、お金持ちがコロナ禍をどのように過ごし、そして「コロナ禍明け」に何をするつもりなのか話を聞いた。
「我慢はしていますが、宣言が解除されて『我先に』という感じではありません」
都内の監査法人勤務・石橋克さん(仮名・30代)は、年収1400万超。専業主婦の妻は元同僚で、結婚を機に退職したものの、フリーランスの会計士として活動、世帯年収は1800万円を超える「リッチ層」だ。
以前は2月頃と夏休みに国内外の観光地に出かけていたが、コロナ禍以降、外出といえば隣県のアウトレットモールに行った程度。その間、ずっと家に引きこもっていたのだろうか。
「コロナ禍で移動が制限されていたので、行けるところに行こうという感じだと、どうしても心から楽しめなくなるっていうか。だから、車のディーラーをまわったりして時間を潰しました。同僚からはドケチと笑われますが、無駄なことはしたくない性分なので」(石橋さん、以下同)
具体的に説明すると、石橋さんはコロナ禍で「どこにも行けない」ことを利用して、普段なら妻に「また?」と呆れられるという高級外車の「ディーラー巡り」を行っていた。
石橋さんの愛車はメルセデス・ベンツのGクラスと言われる四駆仕様。中古で購入しても800万円はくだらない代物で、これで乗りつければディーラーの対応も変わるという。
「まず行けば、好きな車を穴が開くほど眺めて、インスタントじゃないコーヒーが出てきてね。美人の店員さんなんかに相手にしてもらって、これでだいぶ時間を有効に使えます」
ディーラーによっては新車の試乗をさせてくれることもあり、タダでドライブができてしまう。となれば、小さな子どもや妻も「それならば」と付き合ってくれたという。
こうした「無料のドライブ」を十回ほどは繰り返したが、手元の現金はほとんど減らなかった。
「話題の高級新車に何度も乗り、写真なんかも撮っていましたが、妻が『それならブログにしちゃえば?』って。ちょっとしたブログも始めて。小銭程度ですが、ブログに貼り付けている広告収入も発生しています」
ケチというか、無駄がないというか、取りこぼしがないというべきか……。
本当のお金持ちこそ「ケチ」と言われるが、お金を使わないだけではなく、隙あらば「儲け」に繋げようとする姿勢に、庶民は驚くしかない。もっとも、ある程度の資産があるからこそ、石橋さんのような「ケチ生活」は実現可能でもあるのだが。
お金持ちのお金をかけない楽しみ方
「無料のドライブ」を繰り返した
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