大人のおもちゃ屋で一番儲かる商品とは?
デフレで物がどんどん安くなるなか、気になるのは企業が儲かっているのかどうか。実際、多くの企業が業績悪化で苦しんでいるものの、激安商品をウリにした企業には業績好調なところも。そこで今回は激安衣料や飲食店の食べ&飲み放題、さらに神頼みグッズまで、さまざまな商品の原価を調べ、儲かるカラクリに迫った!
【アダルトグッズ】
販売価格は原価の2倍! ローターの利益率は90%
◆オナホール
定価 1000円
原価 500円
夜の生活に欠かせないアダルトグッズ。都内の某アダルトショップ店長が極秘で原価を明かしてくれた。まずは使い捨てのオナカップから。
「平均的な販売価格は約1000円ですが、原価は500円程度。海外で大量生産しているようですが、シリコン代が高いみたいですね。定価が500円程度の格安のカップもありますが、シリコンの質が悪くて油臭かったり、固くて使えない。中身がスポンジ製のカップを原価100~200円程度で仕入れて500円で売っていますが、これも品質が悪くて売れませんね」
値段が安いホールは、夏場にドロドロに溶けることも……
次は、熱狂的なマニアも多い、洗って何度も使用できるオナホール。
「10万個以上も売り上げた名作『東京名器物語』は定価3280円で、原価は1600円。オナホールもほとんど定価の半額です。オナホールは個人でも工場に発注できて、本体と箱、付属のローションを含めた製作費が1個1600円で、最低100個から作れます。でも、新たにデザインすると外の金型が約40万~50万円、中のヒダを作る金型が10万~15万円しますから、よほど売れないと利益は出ない。それでもネットで『ジョークグッズ』として個人で販売している人もいて、一発当たれば結構儲かるみたいですよ」
◆ピンクローター
定価 1000円
原価 100円
では、女性がこっそり隠し持っているピンクローターはいくら?
「ローターは中国で数千、数万と大量生産しているようで、電池付きなのに仕入れ値はわずか100円。壊れやすい消耗品なので、1000円の値段でもよく売れますね。遠隔操作や振動の強さが変えられる高性能のローターの販売価格は5000円で、原価は2000~3000円程度。店としてはローターが利益の源泉ですね」
◆バイブ
定価 3000円
原価 850円
ローターと同じく利益率が高めなのが、女性が使用するバイブだ。
「バイブもローターと同じで中国製が多く、販売価格3000円のもので約1200円程度と利益率は高め。特に女性から大好評の売れ筋バイブ『オルガスター』は、850円の仕入れ値で3000円の値段をつけても売れるおいしい商品。逆に、男性器を擬したディルドは作るのは単純そうなのに、アメリカからの輸入が多くて利益は少ない。しかも売れないですね(笑)」
利益率も高く儲かりそう!と感じたが、「客の絶対数が少ないからギリギリですよ」とのこと。
「よく売れるコンドームやローションなどの消耗品は利益率が低くて、1つ売れても100~200円程度しか儲からない。DVDも10年くらい前から委託販売が中心で、メーカーの取り分が60~70%。3000円の商品が売れても30~40%しか利益がないんです」
ネットショップではほぼ原価で売っている場合も多く、「店舗ではなかなか儲からなくなっている」とか。客が入りづらい店だけに、原価率を低めにしないと経営が苦しいようだ。
●原価を知り尽くす達人●
【坂口孝則氏】
調達業務研究家 メーカーの調達部門を経て独立。現在、調達購売マネジメント取締役。近著に『激安なのに丸儲けできる価格のカラクリ』(徳間書店)
【金子哲雄氏】
流通ジャーナリスト兼プライスアナリスト。モットーは「清く貧しくゴージャスに」。など著書多数
― 知って得する[原価のカラクリ]大調査【7】 ―
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