ライフ

「もう学校には行きづらい」教員と生徒たち。疲弊する教育現場

感染者の噂がまわってしまう

受験勉強をする中学生 千葉県内の公立小学校教諭・飯田あゆみさん(仮名・20代)も、やはり憔悴し切った状態で話す。 「姉が感染したという生徒がいて。教員たちは差別や偏見を生まないために、感染者が誰なのかは伏せていたのですが、おそらく親御さんづてに話が広がってしまいました。  生徒に症状はなく、姉の症状も回復しています。しかし、経過観察期間が過ぎても『学校には行きづらい』と休んでいます。生徒たちには責めてはいけないと言っても、子どもたちの間では、なんとなく“感染した方が悪い”と思っているフシがあるようです」(飯田さん)  こうしたトラブルは、すでに学校外の生徒の活動にも影響を及ぼしているという。 「ある学習塾から、うちの学校の生徒たちの通塾を控えてほしいと連絡がありました。塾内でもうちの学校や、他に感染者が出た学校のことが噂になっているようで。そういった学校に通っているお子さんがひどい思いをしていると。以前みたいに一斉に休校するなどの対策がとられるべきだと感じている教員は私だけではないでしょう」(同)

生徒たちにとっては悪夢

 その一方で、オミクロン株は「インフルエンザのようなもの」として、生徒たちを通常通り登校させよといった保護者たちの圧力もあるという。都内の公立中学校教頭・坂本修さん(仮名・50代)は、「現場は板挟みになっている」と訴える。 「いろいろな考え方があるのはわかります。今までも登校させるべき、させないべきという意見に二分化していた印象でした。しかし、オミクロン株に生徒が感染し始めると、“通学させよ”と強硬に主張する人は少なくなり、“なぜ登校させるんだ”という声の方が増えました。これだけ学級閉鎖や休校する学校が相次いでいるのに、都や自治体、教育委員会はあまりに対応が遅すぎる」(坂本さん)  最もツラい思いをしているのが、高校受験を間近に控えた生徒たちだ。 「私立高校の受験シーズンですが、自分が感染したり家族に感染者が出たりして、試験が受けられなかった生徒が複数います。高校側も特別措置として、追試の日程を設定するなどの動きがありますが、生徒たちにとっては悪夢という他ないんです」(同)  教員や生徒たちを取り巻く環境はいま、混乱しているようだ。 <取材・文/山口準>
新聞、週刊誌、実話誌、テレビなどで経験を積んだ記者。社会問題やニュースの裏側などをネットメディアに寄稿する。
1
2
おすすめ記事
ハッシュタグ