「もう学校には行きづらい」教員と生徒たち。疲弊する教育現場
全国の小中学校、高校などの教員から、悲鳴にも似た声が相次いでいる。
「年明けに担任のクラスで生徒と接しました。もちろん、教師として子どもたちを危険な目には遭わせられないですから、勤務以外はどこにも外出していません。コンビニだって寄らなかった。それなのに、急に体調が悪くなり、38度以上の熱が出ました。まずい、と思ったときにはもう手遅れでした」
電話口でもわかるほど、憔悴し切った状態で筆者の電話インタビューに答えてくれたのは、東京都内の公立中学校で教諭を務める雄作さん(仮名・30代)だ。
自身の感染直後、体調不良を訴える生徒が続出。同僚からは「子どもたちの思い過ごしだろう」と慰められていたが、そのうち数人が「オミクロン株」に感染していたことが判明した。
当然、保健所などにも報告し、結局のところはクラス内で誰が「感染源」だったのか特定できなかったものの、いち早く症状を打ち明けた雄作さんは、保護者から攻め立てられた。
「保護者からは『生徒を守る立場なのに』とか、『先生も若いからこっそり遊んでいたんじゃないの』とか、いろいろなことを言われました。感染した生徒の母親は、私の責任問題だとして、校長や教育委員会にもクレームを入れたそうです。
対策していてもかかるものだから、もしも感染した人がいても差別してはいけない、そう教えてきたつもりでしたが、実際に自分が感染してしまうと……。すでに症状はなく、回復していますが、生徒に合わせる顔がありません」(雄作さん)
コロナ禍の約2年間、保護者向けの資料にも「感染は仕方がない」と書いてきたが、いざ自身が「感染源」と疑われるようになると、いたたまれない気持ちになった。
その後、別のクラスの生徒からも複数の感染者が確認された。学級閉鎖を余儀なくされたクラスもある。それもすべて雄作さんが原因だ、という見方も一部では出ており、もはや教員として復帰できるのか怪しい状況なのだとか。
感染力は高いが重症化のリスクは低いとされる、新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」だが、生徒たちの間で流行し、学年・学級閉鎖や休校に。その結果、一部では教員の「責任」について論じられてしまうケースもあるという。
コロナ陽性者の発生で保護者から攻め立てられる教員
生徒に合わせる顔がない
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新聞、週刊誌、実話誌、テレビなどで経験を積んだ記者。社会問題やニュースの裏側などをネットメディアに寄稿する。
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