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虎キチ現役メジャーリーガー現る!

 虎キチの貴方はあの日、東京ドームの外野スタンドで黄色いスティックメガホンを叩き、健気に阪神を応援していた、白人のアメリカンを覚えているだろうか?

 3月26日に東京ドームで行われたMLBプレシーズンゲーム「阪神タイガース対シアトル・マリナーズ」の一戦。その外野応援席に、大物が紛れ込んでいた。身長2メートル、文字通りの「大物」はなんとマリナーズの背番号「54」セットアッパー、トム・ウィルヘルムセン投手(28歳)だったのだ。

◆身長2m「異色の経歴」を持つ男

トム・ウィルヘルムセン投手

マイナー時代はYouTubeでダンスを披露するなど、サービス精神も抜群。記者の質問にも真摯に答えるナイスガイ 写真/AFP=時事

 アリゾナ生まれのトム・ウィルヘルムセン投手は、’03年にブルワーズに入団。そのシーズン終了後にマリファナの陽性反応を示したため更生施設に送られ、’04年に野球界から引退。その後、地元のバーテンダーとしてひっそりと生計を立てていたという。しかしメジャーへの夢は断ちがたく、一念発起。’09年に現役復帰を果たすと、昨年、ついにマリナーズの中継ぎ投手としてメジャー初昇格したという「異色の経歴」なのだ。

 そして今年、彼はついにマリナーズの開幕ロースターに見事選出され、来日を果たした。

 しかし……MLBの開幕を2日後に控えた26日、彼の姿はグラウンドではなく、東京ドームの外野席にあった。阪神タイガースの応援グッズを抱え、レフトスタンドで、虎キチと一緒にメガホンやスティックをバンバン叩き、大声をあげていた大男。

 地元シアトルなら間違いなくファンが気づいたことだろうが、悲しいかな、そこは東京ドーム。彼が何者か気づく者は皆無に等しかった。

「たぶん周りの人は、アメリカ人の愉快な野球ファン(die-hard baseball fan)と思ったんだろうね。ものすごく楽しかったよ!」とご満悦のトム投手。果敢なことに、応援歌にもチャレンジしたという。しかし、ご存知のとおり、日本の応援歌は選手ごとにバリエーションが多彩。部分的に真似るのが精一杯だったとか……。

 そんなトム投手は2日後、本職であるメジャーの投手として開幕戦に登場。マリナーズの開幕投手、フェリックス・ヘルナンデスの後を引き継ぎ9回から登板すると、しびれるような投手戦を演出し、2回無失点の好投。

 ’12年シーズン最初のメジャーリーグ勝利投手となったのだ。

「今回の滞在で起きたことを落ち着いて理解するには一週間はかかると思う」と、興奮を語るトム投手。

 石巻での野球教室、虎キチと一緒に堪能した「鳴り物野球」、日本で得た様々な経験は、この上ないものだったよう。記念に買おうとした阪神のユニフォームが、小さすぎてサイズが合わなかったのを除いては……。

 タイガースファンの貴方。現役メジャーリーガーを虎キチにすべく、特大サイズの阪神のユニフォームと帽子、「六甲おろし」のCDを贈ってあげてはいかがだろう? その「ご進物」が将来、阪神タイガースに“大きな戦力”として帰ってくるかもしれない。

<取材・文/NANO編集部
海外サッカーやメジャーリーグのみならず、自転車やテニス、はたまたマラソン大会まで、国内外のスポーツマーケティングに幅広く精通しているクリエイティブ集団。「日刊SPA!」ではメジャー(MLB)・プロ野球(NPB)に関するコラム・速報記事を担当。




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