更新日:2023年05月17日 14:41
仕事

自称“顔採用”で大手企業に入社、わずか3か月で退職した美人新入社員の言い分――モンスター新入社員ベスト10

会社にとって必要なのは人格よりも風習を継ぐこと

 研修後は、都内からほど近い支店に勤務することになった。ここでの環境が、茜さんの心に変化をもたらすことになる。たしかに、金融業界で歴史ある同社。そこには時代錯誤とも呼べる、よくわからない風習も数多く残されていたのだ。  朝3時に起き、新聞を読んでから出社するのが新人の勤め。出勤してからは、新聞の読み合わせや大量に渡される資料の理解、先輩の補助など、休む隙もない、めまぐるしい日々……。  指導の方針は、決まったことだけ身につけ、個々の人格はいらない、と思わされるようなものだった。  先輩に対しては、仕事だけでなく私生活のことまで、とにかくおだてなければならない。飲み会のときには、新人が先輩に対してお酒を注ぎに回り続ける。そんな昔からの風習に従わなければ、あからさまな嫌みを言われることも多かった。  当然、今であればパワハラと呼べるようなものだろう。しかし、先輩社員にとっては「当たり前のこと」として済まされていたのだ。
新人

多くの社員は古いしきたりを「当たり前のこと」として捉え、おかしなことでも疑問にさえ思っていなかったという

 茜さんは「この人たちのように、ここには染まりたくない」と思うようになり、入社わずかで退職を決意したという。 「インターンシップやイベントでは、本当にキラキラした企業に見えたんです。上辺だけで選んだら失敗しました。中身は、古いしきたりが強くて、人格を尊重することのない環境でした。会社全体としてそうなのだから、私個人の意見など聞いてもらえるはずがない。次第に、私という人格まで無視されているように思えてきて」  こうして3か月で金融大手を退職した茜さん。古い風習があるからこそ、大手企業として生き残り続けているということも理解しているが、ついていけなかったという。 「今はアルバイトですが、前よりぜんぜん楽しいですね」  現在は、社員登用制度のある会社で事務のアルバイトをしている茜さん。いつか社員になれることを夢に、お金よりも、尊敬できる先輩と自分という人格を尊重してくれる環境がそこにはあるという。  ――人事担当者は会社の良い側面ばかりを言うことだろう。インターンシップや就職イベントに参加しても、実情まではわからないことが多いかもしれない。新入社員も大きな期待を抱いて入社してきたはずだ。そんな新入社員に対して、「最近の若者は我慢が足りない」「すぐ辞めてしまう」とはよく言う言葉。  会社の風習だからと、古い価値観を押し付けてはいないか。時代や感覚の違いを、現場レベルでも共有しておかないと、すぐに辞められてしまうのかもしれない……。<取材・文/南沙織>
渋谷系ギャル雑誌編集部を経て、フリーランスとして主に雑誌・ WEB の編集や執筆、広告のクリエイティブディレクターとして活躍。日韓クォーター・韓国語留学経験を活かした執筆も手掛ける。Instagram:@happycandybox
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