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日本社会は「出すぎた杭」を許さない?今も残る投資ジャーナル事件の風潮

“出る杭”となったガーシーは打たれるのか

ガーシー公式

ガーシー公式Twitterより

 もう1人はガーシーだ。ガーシーは自身のYouTubeチャンネルで、警察が自分が行った詐欺行為の被害者に対して、自分と示談しないように裏工作をしていると発言。被害者たちが最初に警察に行った時は、立件できないとして門前払いしたにもかかわらず、ガーシーが世間を騒がすようになった途端、彼を逮捕する方向に動き出した。それは誰かしらが、警察に圧力をかけたためだとガーシーは言う。  ガーシーの主張はいくぶん被害妄想めいているし、ホリエモンや中江滋樹の逮捕が不当であったと、明確に主張できる根拠を私は持たない。しかし日本社会が「出る杭は打つ」体質である事は間違いないだろう。正直言って、他の先進国に比べて、社会の紊乱者に対して、恣意的に権力が行使されることが許されていると感じる。

頭の中を変えなければ日本経済は先細りしていく…

 世界仰天ニュースを見て、中江滋樹と言う人物は、社会的に抹殺してしまうにはあまりに惜しい才能を持った人と感じた。  小学生の時から自分の誕生日のご馳走を我慢する代わりにそのお金を親からもらう、独特の金銭感覚を持っていた。小学生の時に株式投資を始め、高校のときには一千万円以上の儲けを出していた。22歳でたった1人で起業し、あっという間に兜町の風雲児と呼ばれるまでになった。  人間としてもなかなか魅力的だ。VTRを見たり、ネット記事を読んだだけの情報であるが、中江滋樹のことを邪悪な人間とは、どうしても思えなかった。  刑務所から出所後、近づいてきた裏社会の人が融資した金を、中江は焦げ付かせてしまう。その時、投資ジャーナル社の元社員たちが、1億円を工面してくれて、その金で8年間愛人とともに海外逃亡生活を送った。元部下たちとの関係性がわかる。  帰国後、相場の世界でもう一度浮かび上がることを願いながら、最後は2020年、生活保護を受けながら1人暮らしをしていたアパートで、タバコの不始末から焼死してしまう。亡くなる直後まで株のチャートを細かく書き込んだメモをつけていたと言う。  人権や環境に対する意識を新たにすることが、強く求められているのが昨今の風潮だ。そして、頭の中を変えることが、社会の経済的発展に直接関係しているらしい。日本の社会が変わる事は難しそうで、ひろゆきがいうように、日本は先細りしていくしかないようだと思わされた、中江滋樹の世界仰天ニュースであった。
1968年生まれ。構成作家。『電気グルーヴのオールナイトニッポン』をはじめ『ピエール瀧のしょんないTV』などを担当。週刊SPA!にて読者投稿コーナー『バカはサイレンで泣く』、KAMINOGEにて『自己投影観戦記~できれば強くなりたかった~』を連載中。ツイッター @mo_shiina
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