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「起きる時間がバラバラ」は100%の快眠を得られない。1日単位で管理する睡眠改善法

 アスリートを中心に睡眠改善法を教えている「スリープコーチ」の矢野達人です。私はこれまで、格闘家や車いすバスケの日本代表選手、Jリーガーや高校サッカー強豪校など様々な選手に睡眠改善のアドバイスをしてきました。

スリープコーチの矢野達人氏

 ただ、私がアスリート達に提供しているメソッドは、一から十まですべて独自開発したものではありません。実は、ある「世界的な睡眠の権威」からメソッドを学び、日本人向けにアレンジして伝えているのです。  その人物が、イギリス人のニック・リトルヘイズ氏です。彼はサッカーの世界的ビッグクラブであるレアルマドリードやマンチェスターユナイテッドに対して睡眠指導をしてきた、まさに睡眠界の大物です。

「世界最高のスリープコーチ」との出会い

 私とニック氏との出会いは、2021年のこと。今でこそアスリート向けにスリープコーチをしている私ですが、それまではプロアスリートに対するコーチング経験はありませんでした。 「どうすればトップアスリートのスリープコーチングができるようになるのか」と悩んでいた時に、2018年に出版されたニック氏の著書『世界最高のスリープコーチが教える 究極の睡眠術』を思い出しました。そして、思いきってイギリスに住むニック氏にメールを送ったのです。 「日本人は睡眠の価値観が低いです。日本のアスリートもまだまだ意識が低く、睡眠指導の契約など検討もしてもらえません。日本人の睡眠の価値観を変えて、スポーツ界を盛り上げたい、日本を豊かな国にしたいです。力を貸して頂けないでしょうか?」  私は英語がまったくできないので、完全にダメもとです。しかし、日本語で送ったメールに英語で返信がありました。 「日本人の睡眠の価値観を変えたい、日本のために役に立ちたい、という熱い想いが伝わった。一緒に取り組めたらそれは素晴らしいことである。しかし、課題が2つある。1つは、言語の問題。もう1つは、本当にあなたが睡眠の知識を充分に有しているのか、である」  幸いなことに、イギリス人の親友がいたので、彼に通訳を頼むことで言語の問題は解決できました。そして睡眠の知識に関しては、ニック氏から与えられた数々の課題をクリアし、実力も認めてもらうことができました。  そうして正式に国際パートナーとして契約を結び、共に日本の睡眠を変えるためのプロジェクトがスタート。先述したように、現在は格闘家や車いすバスケの日本代表選手、Jリーガーや高校サッカー強豪校など幅広く睡眠をサポートさせて頂きながら、ニック氏のノウハウを日本で広めるための資格発行なども行っています。

ニック氏の提唱する「R90分テクニック」とは?

 では、ニック氏の睡眠改善メソッドとはどのようなものか。それが「R90テクニック」というものです。しかも、ニック氏のメソッドは“睡眠だけ”を90分刻みで考えるのではありません。睡眠時間以外も含めて「1日24時間すべてを90分刻みで考える」というリズムマネジメント法なのです。つまり、 90分×16サイクル=24時間  というように、1日を16サイクルと捉え、その1サイクルごとに「とるべき行動」を当てはめていきます。  すると、1日のうちで「夜の睡眠時間」は、最後の12~16サイクル目ということになります。そのように1日5サイクル分(7時間半)を目安に睡眠時間を管理しつつ、日中の行動も90分刻みで生活リズムを整えていくのです(睡眠時間が長い人の場合は11~16サイクル目、短い人は13~16サイクル目に睡眠をとるといった具合です)。  皆さんも、ある程度は毎日がルーティン化されているとは思いますが、何も意識せずに過ごしていると、「毎朝起きる時間がバラバラ」「朝ご飯は時間があれば食べる」「お風呂の時間もバラバラ」「寝る時間もバラバラ」という日常になりがちです。  そういった生活を続けると、体内時計がなかなかリズムを掴めず、日中のパフォーマンスも睡眠による回復でも100%の状態が保てないのです。    毎日なるべく同じリズムで生活することで、回復もパフォーマンスも安定させることができる――それが「R90テクニック」の軸となる考え方です。
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日々の行動を“見える化”する
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