更新日:2022年12月12日 20:28
エンタメ

元「子役」人生の挫折。就活に失敗、ニート生活を救った母校教師の言葉

母校の教師の言葉が転機に「いっしょになにかやろうよ」

ぬいぐるみ

大好きなアニメ「Free!」の葉月渚のぬいぐるみと

 そんな鬱屈した日々に転機が訪れたのは母校の高校に遊びに行ったときのことだった。そこで世界史教師の希戸塚一示さんと話した。彼は担任だったわけではなく、世界史を1年間教えてもらっただけで、しかもその授業中はよく居眠りをしていたという。  それでも遥子さんにとっては、なんとなく話しやすい先生だった。就活がうまくいかず、ニート生活を送っていることを包み隠さずに話すと、希戸塚さんは「それならその状況を活かしていっしょになにかやろうよ」と言う。その言葉で心がふっと軽くなった。それまで働いていないことにずっと罪悪感を覚えていたのだが、彼女の現状を叱るどころかプラスに捉えてくれたのだ。 「私はずっと家に引きこもってましたけど、本当はなにかやりたかったんです。だから、先生からそういう提案を受けたときは本当に嬉しかったですね」

文芸同人誌を制作することに

 そして希戸塚さんといっしょにやることになったのは文芸同人誌のZINEの制作である。ZINEとは個人やグループで自由なテーマで作る冊子であり、ここ数年、新しいメディアとして流行の兆しを見せている。  タイトルは「窗外」に決まった。これは「ソウガイ」と読み、窓の外という意味だ。遥子さんと希戸塚さんが話していたときに出てきた「窓際族ってよく考えたら組織の中にいて、組織にすら入れていない人たちは窓外族になるね」という言葉がきっかけになった。  窓外にいることはマイナスだけでなくプラスもある。そこでちょっと外れた生き方をしている人たちに焦点を当てたい。このタイトルにはそんな思いが込められている。そこに筆者もスカウトされて加わり、3人でそれぞれの作品を書いた。そして完成した窗外の創刊号は今年10月9日に武蔵野プレイスで開催される第1回「BUN-ZINE」への出品を予定している。「BUN(文)」にまつわるテーマで「ZINE(マガジン)」を創るというコンセプトのイベントで、22チーム(もしくは個人)のクリエイターが参加する。遥子さんもそこに売り子として立つ予定だ。
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バイオレンスものや歴史ものの小説を書いてます。詳しくはTwitterのアカウント@kobayashiteijiで。趣味でYouTuberもやってます。YouTubeチャンネル「ていじの世界散歩」。100均グッズ研究家。

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