恋愛・結婚

ホストに泣かされても「青春」。ホス狂いが寝る間も惜しんで稼いだ大金を貢ぐワケ

「歌舞伎町のベテランホストは、みんな1回は刺されたことがある」

1000円札の札束

会計は20万円だが、まわりの席に見栄を張るために1000円札の札束を用意(提供写真)

——ホス狂い同士のマウント合戦って実際あるんですか? 大泉:めちゃめちゃあります。ホス狂いは漏れなく、“被り”という担当が同じ女の子のことが大嫌いで、よく揉めていますね。ただ、そこも含めてホス狂いの遊びなのかもしれませんが……。初回は別ですが、担当のいるホストクラブに行く場合、自分が好きなときにフラリと行けるわけじゃないんです。連絡してから行くのが基本だし、ホストが客を“シフト調整”することもあって、勝手に行くと怒られたりもする。  ホストが被り同士を競わせるために、あえてダブルブッキングする場合もあるといいます。ホストクラブはキャバクラのように支配人が席を采配しないので、ホストは好きな席に好きな時間だけつきます。そこでもいろんな駆け引きがあって。 ——もしも自分が大金を払ったホストに放置されたら辛いですよね。 大泉:ホス狂いって、担当ともしょっちゅう喧嘩していて、卓で泣くとか当たり前だし、なんと言うか……すごく激しいです(笑)。 ——本書に書かれていた「歌舞伎町のベテランホストは、みんな1回は刺されたことがある」ってホストの言葉も印象的でした。 大泉:彼女たちは本当に頑張って働いていて。風俗の待機中が唯一の睡眠時間という子もいます。そのため、ホストから連絡が返ってこないのはありえないという感じで、うっかり寝ていると激怒します。「こっちは働いてんのに、オメェ寝てんのか?」って。 ——今のホストはSNSや連絡ツールの発達で、昔とは違った大変さがあるのかもしれませんね。 大泉:30年間ホストクラブに通っている女性いわく「今のホス狂いの遊び方は汚い。昔は電話ぐらいはしても四六時中のやりとりはなかったし、店を出たらほぼ関係なかった」そうです。

いつか叶えたい「担当との結婚」

——オンとオフの切り替えができない生活ですね。 大泉:一途だった子にいきなりブロックされたり、あっさり別の店に鞍替えされたり、女性不信に陥るホストもいます。ただ、そこはお互い様で。裏切られるのが当たり前だし、裏切ってもいいお金の関係がホストなんですけどね。  実際、今回の取材を開始してから本にまとめるまでに1年ぐらいかかっているのですが、インタビューしてから時間が空いてしまって。彼女たちに原稿チェックを送った頃には、ほぼ全員、担当が変わっていました。あんなに「彼のために」とか言って貢いでいたのに、「そんな時期もありましたね〜懐かしい!」みたいな。 ——彼女たちが、ホス狂いを引退することはあるのでしょうか。 大泉:コロナ禍で風俗のシフトが減って全然稼げなくなってホストクラブにも行かなくなったという人は結構いたみたいです。ホス狂いは100万円で豪快に遊ぶから楽しいわけで、スケールダウンして10万円を握り締めてホストクラブに行っても楽しくないと言います。 ——前回の話では、わりとホス狂いの子は担当と肉体関係は済ませていると思うのですが、その先には何を目指しているんですか? 大泉:やっぱり、結婚は意識していますね。一緒に並走して頑張って、いつか担当がホストを辞めるときに結婚したいと。まあまあ実際に担当と結婚するパターンもあるので。
次のページ
ホス狂いは「青春」
1
2
3
1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii

記事一覧へ
ホス狂い
ホス狂いと呼ばれる女性の多くはデリヘルやソープ、パパ活などで稼いだお金をホストに注ぎ込んでいる。担当に請われるまま数百万のシャンパンタワーを入れ、時には売掛まで作る姿は、痛ましい。しかし、彼女たちがホストにダマされ、搾取される被害者に見えるとしたら、それは少し現実とは違う。むしろ彼女たちは、自分たちが営業されている=金銭が介在した関係と知りながら、ホストに課金し続けるのだ。果たして彼女たちはなぜ、ホストに狂うのか。
おすすめ記事
ハッシュタグ