ライフ

貧困とDVに苦しんだ「中卒社長」が、カンボジアに小学校を寄付するまで

養護施設や被災地、発展途上国への支援

テレビ

寄付された学校施設は大きな話題となり、現地メディアでも取り上げられた

 現在は自身の建設会社を経営する一方で、GCUの活動にも力を入れているという中村氏。そこで行う社会貢献は国内外に幅広い。 「まず、現在、定期的に実施しているのが、全国の養護施設や老人ホームにエアコンのクリーニングや抗菌活動です。そのほか、災害などが起こった際は、現地で何が必要かを確認して、物資を届けるなどの活動も行っています。たとえば、熊本県の豪雨災害の際には、単価が高いからこそ不足しているといわれていたおむつやPCRキットの物資支援。あとはユンボやトラック、ダンプなどの工事車両の手配を行いました」  また、自分自身が幼少期に貧困家庭で虐待を受けた影響か、さまざまな支援のなかでも特に力を入れているのが貧困国の子供への支援だ。 「東南アジアの国でも貧困層が多いカンボジアで、現在は重点的な支援を行っています。今では観光地のイメージのあるカンボジアですが、1990年代まで20年以上に及ぶポル・ポト政権下の内戦が続いていた地でもあります。この内戦で教師や医師、学生など知識層と呼ばれるカンボジア人の多くが亡くなり、国力が大きく衰退しました」

カンボジアの貧困村で小学校を設立

中村英俊氏

自身が設立したカンボジアの小学校を視察する中村氏

 カンボジアはポル・ポト政権崩壊後も教員や教科書、学校が極端に不足し、現在に至るまで根深い問題として爪痕を残してしまっている。 「カンボジアの貧困村で小学校を作って、大勢の子供たちを卒業させています。あと、子供がきちんと教育を受ける時間を作るには、家族の所得向上も重要です。現在はバナナ農園を開業し、収穫できたバナナを現地で販売。衛生完備された工場でバナナチップスに加工し、今後は日本でも販売し、収益を現地の村へ届けるというプロジェクトも進めています。プロジェクト1年目で、不安もありましたが大豊作となりました。何をするにもお金と時間と労力はかかるもの。でも、自分たちのような社会支援とは縁が遠かった企業でも、やりたいと思う気持ちを形にすることはできる。ぜひ考えを同じくする人々とともに、これからも地道な活動を続けていけたらと思います」 <取材・文/藤村はるな>
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