仕事

路上ライブで月8万円稼ぐ元CA。早期退職後の波乱万丈――2022年トップ10

還暦前で不安定な生活「どうなるかわからない」から面白い

あなたのお話聞きます

路上で「あなたのお話聞きます」

 現在太田さんの活動は、路上ライブ、路上での「あなたのお話聞きます」、そして個人セッション、路上ライブなどで経験したことを話す講演会の4つ。  気になる収入面だが、ある月は路上ライブの投げ銭が約8万円、講演会が約3万円、個人セッションと路上での「あなたのお話聞きます」が9万円。月によるが、概ね合計20万円程度とそれなりに暮らしていける収入がある。だが、現在住んでいる大阪と東京の実家を往復する際には、あえてヒッチハイクで帰るという……なぜまたそんなことをするのか? 「一番はやってみたかったから……なんですが、これもたくさんの人に話を聞けるから楽しくて。大阪から東京はだいたい7台くらい、東京から大阪までは3台くらいを乗り継ぐことが多いです。車中でいろんな話を聞いたりアドバイスをしたりするので喜ばれることもあります。『危ないからやめなさい』と言われることもありますが、基本的にはヒッチハイクをする前に『私はどうなってもいい』と思うようにしています」
ヒッチハイク

大阪と東京をヒッチハイクで往復

 自暴自棄?と思ったがそういうことではないらしい。 「人間は本質的に『いろんなことを体験することを喜びとして感じる』と言われています。不安なこともあると思いますが、思い切って様々な体験をしてみると、結果良いことしか起きないものなんです。だから『どうなってもいいや』と思って挑戦すると、結果的にどうなっても『良い!』ことしか起きなくなりました」  もちろん、リスクヘッジは十分に行っている。夜間は知らない人の車に乗らない、22時を過ぎたらホテルに泊まる、色恋を期待してカマをかけてくる会話の流れにはきっぱりと拒絶の意を示すなどだ。

将来を憂いている暇はない

手書きのカード

友人の手書きのカードを路上で話を聞いたあとに1枚渡しているという

 彼女のような大胆な行動はなかなか真似できない……と思ってしまいがちだが、太田さんは「誰にでもできること」と話す。 「誰にでも『将来の不安』があると思いますが、私は『今の怖さ』と向き合っているから将来を憂いている暇がありません(笑)。西成で路上ライブをするといったことは、わからないことをやるチャレンジで怖いことでした。だけど、『今の怖さ』をやることで、私は結果的に温かい気持ちを得ることの方が多かったんです。  “純粋にやりたいことを怖がりながらもやったら、嬉しい現実が起こる体験”を重ねていくと個々の“わたし”が輝いていく。そんな自分を大好きになった人たちが増えて、温かい地球になるのを見てみたいという好奇心でやっています」  その言葉には本質を突かれたような気がした。安定や安心だけが幸せのキーワードではないのかもしれない……西成で路上ライブはできないけれど、「苦手だから」と目を背けていたものにチャレンジしてみよう、と勇気をもらった。 <取材・文/松本果歩>
恋愛・就職・食レポ記事を数多く執筆し、社長インタビューから芸能取材までジャンル問わず興味の赴くままに執筆するフリーランスライター。コンビニを愛しすぎるあまり、OLから某コンビニ本部員となり、店長を務めた経験あり。X(旧Twitter):@KA_HO_MA
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