迷惑客にならないために。“クレーム対応”のプロが明かす「正当な意見」と「カスハラ」の境界線
SNSの普及により、十数年前よりも「迷惑客」や「クレーマー」の存在を目にする機会が増えた。「カスタマーハラスメント」と呼ばれる、店舗や企業に対する理不尽な要求・クレームも頻繁に話題に上がる。そこで今回は店舗や企業などに常駐スタッフを派遣し、“クレーム対応”を行っている株式会社エス・ピー・ネットワークの森田久雄氏に思わず耳を疑った事例や、カスタマーハラスメントの実情を聞いた。
株式会社エス・ピー・ネットワークは、いわば業務上の“火消し担当”として、企業の危機管理を総合的に支援する。
24時間電話でリアルタイムに相談に乗ったり、現場に常駐スタッフを派遣し、クレーム対応を行ったりしているという。常駐型のサービスを利用している企業は、飲食店や小売店から車のディーラーまで幅広い。
常駐までする必要があるのか……と思ってしまうが、あまりにもクレーム対応の多い店舗では責任者や店長がクレーム対応により延々と拘束されてしまい、通常の業務に支障をきたすことも少なくないためだ。
研修やマニュアル作成だけでは不慣れなクレーム対応がうまくできなかったり、メンタルをやられてしまう従業員も。店舗にとって大きなロスになるため、入り込んで対応に当たるというのだ。例えるならば、110番や119番で駆け付ける警察官や救急隊の「クレーム・カスタマーハラスメント版」という感じだ。
気になるのは「正当な意見・クレーム」と「迷惑行為・カスタマーハラスメント」の定義。どちらも紙一重で区別しがたいが、エス・ピー・ネットワークでは「クレーム」と「不当要求」に分けて考えているという。
「なにかしら企業が不手際やミスをしてしまった場合、お客様が怒るのは当然です。本来得られるサービスを受けたいと申し出たり、受けた損害の原状回復をしてほしいと要求したりすることを、私たちは正当な『クレーム』と呼んでいます。
しかし、正当なサービスの提供や原状回復の対応をしたにもかかわらず、“それ以上”を求めてくるのは『不当要求』と捉えています」(森田氏、以下同)
クレーム/不当要求のどちらであっても大声を出す・暴言を吐く・暴れるなどして無理やり通そうとするのは「カスタマーハラスメント」になるのだとか。
消費者の立場としては、受けたサービスに対してなんらかの不満がある際に、一言いいたくなる気持ちもわからなくはない。自分自身が「迷惑客」や「クレーマー」にならないためには……?
クレーム対応によって通常業務に支障が出る場合も
「ご意見」と「カスタマーハラスメント」の違いは“不当な要求”かどうか
インタビュー・食レポ・レビュー記事・イベントレポートなどジャンルを問わず活動するフリーランスライター。コンビニを愛しすぎるあまり、OLから某コンビニ本部員となり店長を務めた経験あり。X(旧Twitter):@KA_HO_MA
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