仕事

元セクシー女優が“普通の仕事”に転職するまでの苦悩。就活で突きつけられた現実とは

セクシー業界にもある「スカウトバック」とは

たかなし亜妖 これは俗に言う“スカウトバック”(スカウトマンの仲介手数料)を高く打つ事務所が現れたり、期間限定でバックを上げるキャンペーンが行われていたり、紹介本数のノルマや目標設定が定められていると、女性を動かすことで彼らにメリットが得られるのだ。  きっとA氏も同じ状態を強いられているのかもしれない、と思ったがそれとこれとでは話が別なので毅然とした態度で断った。それ以来着信が来ることはなく、時折“ご案内メール”が来る程度だったのだが……。

忘れたころに魔の着信が……

 私の悪い癖なのだが、相当付き合いが深くない限り電話番号を登録しない傾向にある。今となっては気を付けるようになったものの、当時は本当にマメではなかったのだ。  フリーランスになって少し経った頃、見覚えのない番号から着信。この前面談したクライアントの採用通知かもしれない! と嬉々として電話を取ると、まさかのA氏だった。名乗られた瞬間嫌な考えが頭をよぎり、残念な予想は見事に的中してしまう。  今後も着信があると困るため案内は不要と伝えるのだが、今回ばかりは一向に引き下がらない。 「業務委託で会社に勤務するといった形がありまして……ご存じです? 今募集している会社様がいくつかあるんですよ~。たかなしさんの書かれたお話でしたら……」  もし自分が営業マンだったら彼の根性は見習いたいものがある。あのしかめっ面を浮かべていたA氏は一体どこへ行ったのだろう。スマホを握りしめる手に力が加わっていたが、頭の片隅で「何かに激しく食らいつく姿勢は時に大事な行為なのかもしれない」と冷静に分析していた。
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転職エージェントから学んだテクニック
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元セクシー女優のフリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ソーシャルゲームのシナリオライターを経て、フリーランスへと独立。WEBコラムから作品レビュー、同人作品やセクシービデオの脚本などあらゆる方面で活躍中。
Twitter:@takanashiaaya

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