更新日:2023年02月24日 10:52
エンタメ

水道橋博士が議員辞職。“たけしイズム”は「精神に負担の大きい芸風」なのか

「お笑いドキュメンタリー」スタイルに思うこと

 水道橋博士の芸風は「お笑いドキュメンタリー」とも呼ぶべきスタイルである。運転免許証の写真はどこまで変装をして映ることができるのか、実際に試した。これは運転免許書の不正取得の罪に問われ、書類送検されてしまった。しかしこの変装写真は、バラエティー番組で紹介され笑いをとっていた。私も笑った。  自分の身体を実験台にして、さまざまな健康器具や薬を試した著書「博士の異常な健康」はベストセラーになった。こうした博士の姿勢は、「シャレにならないことをシャレとしてやってしまい、世の中のタブーをぶち壊す」という“ビートたけしイズム”を生真面目に遂行し、先鋭化していくことで作り上げられているように感じる。しかし、この方法は「笑いに着地する」のが非常に難しいように思う。

精神に与える負担が大きい芸風なのか

 橋本徹の発言に食ってかかり、生放送中に番組を降板したことがあった。これは、橋下徹自身がかつて放送中に突然降板宣言をしたことがあり、そのパロディーであると後に説明した。  SNSで言い争いになった、編集者とは真剣勝負でボクシングで戦い、ボコボコにされてしまった。もうこの辺になると、私は博士が何を面白いと思って何の目的でこのようなことをしているのか、理解に苦しんだ。手段が目的になってしまい、ただ世間をあっと言わせることばかりが先に立っているように見えた。  ただこの時、博士は躁状態にあり、よく考えるより先に行動を起こしてしまっていたのかもしれない。うつ病の告白を見て、そんな風に思った。  ビートたけしも、前述のフライデー襲撃事件や生死をさまよった交通事故と、大事件を起こしており、ビートたけしの経歴にも躁鬱のバイオリズムが見え隠れする。ビートたけしイズムを非常に生真面目に再現することに執着する水道橋博士は、期せずして、躁鬱の症状までコピーしてしまったように見える。と言うより、タブーと戯れるという方法論は、精神に与える負担が非常に大きいのだろう。  水道橋博士は、Twitterで議員辞職をしたことをお詫びしていたが、今は、仕事のことは忘れて、とにかく何も考えずに、「だらしなく」過ごして欲しい。
1968年生まれ。構成作家。『電気グルーヴのオールナイトニッポン』をはじめ『ピエール瀧のしょんないTV』などを担当。週刊SPA!にて読者投稿コーナー『バカはサイレンで泣く』、KAMINOGEにて『自己投影観戦記~できれば強くなりたかった~』を連載中。ツイッター @mo_shiina
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