更新日:2023年11月13日 13:05
エンタメ

アダルトメディア研究家が語る、「オカズだったAVが、“AI”に代わる未来」とは?

AV女優もお金ではなく“ファンのため”の意識が強くなっている

著者の安田理央氏

――1本当たりの出演者のギャラも減っているとのことでしたが、やはりAV女優さんの意識も昔から変化していますか? 安田 AVデビューでビッグマネーを掴むというよりは、考え方も本当にアイドルみたいな感じの女優が増えています。ファンのために頑張っているという意識が強いです。承認欲求の問題というか。 ――新法の影響でAVの発売が撮影の半年後となり、芸能人限定AVメーカー「MUTEKI」から単体デビューみたいなことも減って、少し盛り上がりに欠けているなと感じるところもあります。 安田 その代わり女優さんでも10年選手はゴロゴロしていて、ちゃんと売れている子はいるし、働きやすくなっているとも思いますよ。新法で男優も新人を使いづらくなったので、男優の高齢化も進むかもしれませんが。 ――近年は引退した女優が、出演作品の販売を取り下げさせるといった動きもあります。 安田 AVの出演強要が社会問題化し、2017年にAV女優の人権を保護するために設けられた審査基準「適正AV」。これで女優たちは過去の出演作を流通から取り下げできるようになりました。適正AV以降、再編集で商品化された際に二次使用料が入るようになりましたが、それまでAVは基本的に買い切りで、1回AVに出たら何回使われても出演者にお金が入らなかったので。それはやっぱり不満ですよね。当たり前に女優たちも引退したあとの人生があるから、取り下げできるのは妥当ですよ。 ――現在の適正AVの流れは、しばらくは現状維持が続くという認識でしょうか? 安田 前回も述べましたが、同人AVがさらに力を持つ可能性はけっこう高いのかなと。かつてインディーズと言われていたAVが業界の勢力図をひっくり返したみたいなことが、また起きることはあり得えそうです。今のところ配信サイトは「FANZA」一強ですが、今回の新法で同人をどこまで取り扱うかわからないので、同人AVで逮捕者が今後出る可能性もけっこうあると思いますね。この先、数年は少し混乱するだろうし、それで業界の勢力地図も少し変わってくるかもしれません。
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自分好みのオカズを用意してくれる未来
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1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii

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