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「一杯くらいいいじゃない」“アルハラ中年”の暴挙を食い止めた、意外な人物

取引先は約束を無視。生ビールを注文されてしまい…

 W氏は先に店に入っており、手には飲みかけのビールジョッキ。顔も赤みを帯びており、すでに何杯か飲んでいる様子に見えたとか。  約束の時間よりは先に着いたものの、待たせたことを詫びるとW氏は「とりあえず、生でいい?」といきなりビールを注文してしまう。事前にお酒はNGと話していたのに、まるでなかったかのように対応され、山本さんも「これには焦りました」と振り返る。 「Wさんも覚えてはいましたが、『一杯くらいいいじゃない!』って。カドが立たないように本当は飲みたいけど飲めないってニュアンスで改めて伝えたのですが、まったく引いてくれなくて……。しかも、私の会社は先方から取引先に選んでもらっている立場。  Wさんの気分を害することは避けなければなりませんでしたが、強烈な痛みに襲われる膵炎の再発だけは絶対に避けたかったんです。まさかこの場面で究極の選択を迫られるとは思いもしませんでした」

隣席の客がまさかの…

 こんなアルハラを行う相手が1杯飲んだだけで納得するとは到底思えなかったが、この場を収める妙案も浮かばない。葛藤はあったものの、諦めてビールを飲もうとしたそのとき、「膵炎の方にお酒を飲まそうとしちゃダメだよ」という声が飛んできます。  声の主は通路を挟んだ向かいのテーブル席に座っていた3人組の男性のひとり。W氏は「あんたらには関係ないだろ!」と声を荒げたが、先程の声の主が「私は医者だから見逃すことはできない」と言ってきたそうだ。  そして、膵炎は再発率が非常に高く、飲酒がそのきっかけになりうること、最悪命を落とす場合もあることを説明。そのうえで「あなたのような年上の人に『飲め!』と言われたら断れないでしょ。それともこの人(=山本さん)を病院送りにでもしたいの?」と諭すように話したという。
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ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。

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