更新日:2023年05月26日 19:03
ライフ

重力が消える…魔法のスニーカー「ホカ・オネオネ」とは?コロナ禍で弱ったヒザにも効く

関節に負荷がかからないHOKAのマジック

ホカオネオネ04

左がHOKA

ランニングシューズにうるさいと知られる作家の村上春樹氏もHOKAの「クリフトン」を愛用しています。厚底設計のランニングシューズは今でこそかなり一般的になりましたが、そのなかでもHOKAはとくにトウスプリング(つまさきの反り上がり)が大きく、多少の段差程度ではつまずくことがまず「できません」。事実、妻もHOKAを履いてからは、3年間一度もつまずいていません。先述したとおり、そもそもウルトラマラソンのレースを完走するために、企業秘密の塊のような設計でつくられているので、靴ずれや水ぶくれを起こしにくく、足のどこにも負担がかかりません。 HOKAの代表モデルの「クリフトン」と「ボンダイ」にはそれぞれウィズ(幅)が2~3種類用意されています。ニットアッパーで全体にパーツのつなぎ目がほぼなく、足を入れた瞬間のフィット感に即、虜になってしまいます。そして「暴力的」なまでのクッション。クッションと暴力とは逆の言葉ですが、履いた瞬間に誰でもこの意味がわかるはずです。
ホカオネオネ05

右がHOKA

「こんなに厚底だとグラグラしないのか?」と聞かれることもありますが、後ろから見てください。筆者私物の同じサイズですが、カカト周りの狭さとソールの形状の違いがよくわかります。いわゆる「ハの字」型のソールで、あらゆる形状の底のなかでも一番安定しています。人混みや電車のなかで誰かに横からぶつかられても、倒れることはないでしょう。ヒザや腰に痛みを抱えていても、急にぶつかられたり、段差があっても関節に負担がこないというのは、たまらない魅力です。 歩きやすさにはきちんと理屈があり、HOKAが狙ったかどうかはわかりませんが、このソールの形状はハンディキャップ用の靴とシンクロしています。「ヘンケル型ゆりかご状矯正靴」と言われるリウマチ患者や歩行に困難がある方に適した靴があります。この形状だと関節に負担をかけることなく「ころん」と底がローリングするので、無理することなく勝手に足が前に出て、さらに安定感もあるのでケガをしづらい。 ただし、デザイン的になかなかインパクトがあるので、陽の目をみる機会があまりありません。が、思わぬ形でHOKAの厚底シューズへと昇華しているので、HOKAを履くと「なぜかヒザの痛みがない」と、驚嘆の声が上がるのです。 また、再三になりますが、そもそもマラソンシューズなので、通気性がとてもいいです。足をぶんぶん振ると風が入ってくるので、蒸れることが絶対にありません。風が強い日はすこし指先が寒いほど。もはや熱帯気候に近い日本の夏にもうってつけでしょう。 そんなHOKAですが、唯一の欠点があります。売れすぎて、年々在庫が減り、値段もじわじわ上がってきています。クリフトンは2万900円、ボンダイが2万5300円。それでも一度良さを知ってしまうと、なかなか乗り換えることができません。そこで私が「ジェネリックHOKA」と呼んでいるニューバランス「1080シリーズ」も紹介しておきましょう。
ホカオネオネ07

ニューバランス「Fresh Foam X 1080 v12 12O」。公式HPより

完全に偶然の一致だと思いますが、クッション性・トウスプリング・足入れの良さは歩くぶんにはHOKAとほぼ同じで価格はひかえめな1万8700円。
ホカオネオネ06

左がHOKA、右がニューバランス

ショップで一度目を閉じてふたつのモデルを履き比べたことがありますが、見事にわかりませんでした。ヒザにもお財布にもやさしいので、このモデルもおすすめです。HOKAもニューバランスの厚底もとにかく一度履いてしまえば、勝手に足が前に出ます。ほかの靴を二度と履きたくない感覚が芽生え、歩くことが病みつきになり、気がつくと運動習慣が身についています。ヒザが痛いけれど生活習慣が気になったら、だまされたと思って厚底を試してみてください。
こまつ(本名・佐藤靖青〈さとうせいしょう〉)。イギリスのノーサンプトンで靴を学び、20代で靴の設計、30代からリペアの世界へ。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。YouTube『シューフィッターこまつ 足と靴のスペシャリスト』。靴のブログを毎日書いてます。「毎日靴ブログ@こまつ
1
2
おすすめ記事
ハッシュタグ