新井監督のもとで浮上する広島カープ。“今の時代にマッチ”した「押し付けない指導」
広島が大方の予想を覆し、安定した戦いを見せている。オープン戦は投打ともにかみ合わず、8年ぶりの最下位。野球評論家のシーズン前の予想は、広島を最下位に挙げる声が大きかった。
だが、交流戦前の5月28日時点で、46試合を消化して24勝22敗の3位という成績は、この先の浮上も期待できる数字である。
チームを率いる新井貴浩監督は、就任1年目ながらベテランと若手選手、さらには移籍してきた選手をうまく起用しているのが印象的だ。駒澤大学時代の新井の通算本塁打数は2本。本来であればドラフトで指名されるような選手ではなかった。
けれども、当時の松田耕平オーナーが、新井が広島工業出身だと知ると、「獲ってみなさい。体が大きいから打つようになるかもしれない」と決断。1998年のドラフト6位で入団した。
新井は自身のことを「チーム内で一番下手くそ」と公言しては、猛練習に明け暮れた。キャンプの時には朝一番でグラウンドに入り、夕方は誰よりも遅く練習をする。夕食を済ませた後は夜間練習に励み、まさに一日中野球漬けの日々を過ごしていた。
その結果、1年目から7本の本塁打を打ち、首脳陣から「大学時代より打っとるやないか」と評価された。それからも猛烈なまでに練習を積み重ねた。その姿を見ているからこそ、「どうして新井だけ使ってもらえるんだ」という不満が、選手の間から上がることはなかった。
ルーキーイヤーから6年後の2005年、新井は43本の本塁打を放ち、セリーグの本塁打王へと成長。「『もうダメだ』じゃなくて、『まだダメだ』と自分を奮い立たせてやってきた」努力が、実を結んだ形となった。
だが、新井は監督に就任して以降、自分が現役時代に積み重ねてきたような猛練習を、選手たちに課すようなことはしなかった。新井監督は「自分の経験は伝えても、決してそれを押し付けないようにすること」を指導方針の1つに掲げているからだ。
大学時代の通算本塁打数は「2本」
「押し付けないこと」を指導方針に
スポーツジャーナリスト。高校野球やプロ野球を中心とした取材が多い。雑誌や書籍のほか、「文春オンライン」など多数のネットメディアでも執筆。著書に『コロナに翻弄された甲子園』『オイシックス新潟アルビレックスBCの挑戦』(いずれも双葉社)
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