更新日:2023年08月29日 16:41
仕事

残業にならない「連日の接待」にウンザリ…「残業代を請求できるケース」を知っておきたい

「職場で撮った写真」が原因で懲戒処分に

『職場問題グレーゾーンのトリセツ』

『職場問題グレーゾーンのトリセツ』(アルク)

Q:職場で撮った楽しい写真。SNSにアップしたら懲戒処分を受けました! A:顧客情報や守秘義務にあたる内容、肖像権の侵害に関するものは、懲戒処分の対象になる場合があります。 プライベートでSNSを楽しく活用する人は多いでしょう。でも、オフィスや会社のイベントで撮影した写真をSNSにアップロードする行為はコンプライアンス上、かなりきわどいものといえます。そうした写真を会社の許可なく公開すれば、懲戒処分を受けることも十分ありえます。 企業がSNSへの写真投稿に厳しく反応するのは、写真に撮影者が想定権侵害(※1)にあたる可能性が高まるから。知人が見たら個人が特定できるレベルで写っている写真は、なおさらです。プライバシー保護の観点からも、このような写真は公開するべきではなく、もし公開するとしても、モザイクをかけるなど個人の特定ができないような配慮が必要です。

利用を禁止することはできないが…

SNSは個人でも手軽に情報発信ができる便利なツールですが、近年は個人の投稿が原因で、いわゆる炎上状態となり、大きな損失(※2)が出る例も増えてきました。 もちろん企業がスタッフに対して利用を禁止することはできませんが、顧客情報や守秘義務の漏洩につながることや、肖像権の侵害に当たるような投稿に対して、就業規則や企業内ガイドラインで制限をかけることは合法です。 また、上場企業は業務に関する投稿自体がインサイダー情報にあたる可能性もあり、会社の信用にも関わります。意識の低い労働者を抱えている会社なのだと見られ、ネガティブな評価につながりかねません。 このように、就業規則に懲戒の規定があり、SNS投稿に関する記載があれば、会社は個人が行った投稿に対しても懲戒処分を行うことができます。 ※1:肖像権はプライバシー権を根拠にしていますが、明確な法律上の規定はありません。したがって裁判例の「個人の私生活上の自由の一つとして、何人も、その承諾なしに、みだりにその容ぼう・姿態を撮影されない自由を有する」という観点から本文を執筆しています。この文章は京都府学連事件(最大判昭和四四年十二月二四日)に由来します。 ※2:企業側に非はないのにスタッフのSNS投稿が原因で企業が謝罪した、2019年の事例があります。大手回転すしチェーンの従業員が一度ゴミ箱に捨てた魚をまな板にのせる動画を投稿しました。投稿があった同年同月の既存店売上高は、前年同月比6.2%減と大きく落ち込みました。 <TEXT/村井真子>
社会保険労務士、キャリアコンサルタント。家業である総合士業事務所で経験を積み、2014年、愛知県豊橋市にて独立開業。中小企業庁、労働局、年金事務所等での行政協力業務を経験。あいち産業振興機構外部専門家。地方中小企業の企業理念を人事育成に落とし込んだ人事評価制度の構築、組織設計が強み。現在の関与先160社超。移住・結婚とキャリアを掛け合わせた労働者のウェルビーイング追及をするとともに、労務に関する原稿執筆、企業研修講師、労務顧問として活動している
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