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靴はネットや紳士服屋で買ってはいけない。靴屋で買うべき理由

店舗で賢く買う2つのポイント

店舗で靴を買う場合、店選びにおいてポイントが2つあります。まず、店員の履いてる靴がキレイで素敵であること。冗談のようなウソのような話ですが、靴好きの店員がいる靴屋は絶対的に正解です。こちらのリクエストを聞かずにオススメを売ろうとしてくる店員、こちらの疑問点に即答できない店員、靴が汚い店員がいる店は論外です。 とくにチェーン店の場合、店員のノルマに引っ張られて、不本意な靴を買わされる可能性があります。資本主義なので仕方ありませんが、実は私、かなり昔に靴の販売経験があり、過酷なノルマを体験しています。「よくわからない」というお客様もノルマの数に入れて販売するわけですから、本当に胃が痛かった。逆に、「予算と雰囲気」を伝えてくれればハズレの少ない「定番」を案内できるので、最低限の予習はしていったほうがお互いのためになります。 次に、「どんな靴を買いたいのか」をぼんやりでいいのでイメージしておくこと。実店舗と言っても大手のチェーン店や百貨店、スポーツに特化した店もあれば、ひとつのブランドしかない店もあります。「この靴が欲しい」と決まっている場合は、店選びからしても簡単なので、ハズレは極めて少ないでしょう。
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オニツカタイガー「ローンシップ3.0」、1万3200円。写真は公式HPより

例えば、「オニツカ」などのショップであれば、ネットでは完売でも実店舗にはまだ在庫があったりします。「ローンシップ」などの人気モデルが欲しい場合は、実店舗に行かないとなかなか手に入りません。そこで、サイズと感触を試しておけば、仮にネットで「オニツカ」を買う場合、かなり参考になり、リスクは非常に少なくなります。
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「なんとなく雨でも大丈夫でカジュアルに履ける靴……」であれば、オススメはクラ―クス「ワラビーブーツゴアテックス」、3万4100円。写真は公式HPより

「どんな靴がいいかよくわからないけど靴がほしい」という方は、ひとまずはおおよその予算と雰囲気だけは決めていきましょう。最悪なのが「靴屋に行ってから決めよう」というパターン。たいてい試すうちによくわからなくなって、ドロ沼にはまり、予算オーバーのフィットしない靴を買って、結果、靴が嫌いになります。足のセンサーは敏感なので、数多くの靴を履いてしまうと、確実に感度が鈍ります。服であればたくさん試着して、結局いまいちな服を買っても、財布が痛いだけですが、靴はフィットしないと、足にもお財布にも痛いので、ストレスが倍になります。

スーツ屋で靴を買ってはいけない

シューフィッターの経験上、買ってはいけない店舗は、紳士服の量販店です。スーツのついでに売られている靴はかなり問題です。とくに、これからリクルート活動を始める大学生など、ルールがわからないうちに、あれもこれもと買わされるパターン。全部とは言いませんが、スーツ屋の革靴やパンプスは値段の割に極端に質が悪く、壊れるのも早いです。筆者がリペアをやっていたときも、革が紙のように裂けたり、ヒールが土台ごとくだけたり、表は革でも裏が合皮で加水分解して半年でボロボロになったりなどなど、構造的に直せないダメな革靴はたいていスーツ屋のオリジナルブランドでした。 長くつきあうはずの革靴が「直せない」って、本来ありえません。ショップとしてはその場で見栄えが良くて売れればいいので、あとは知ったことではないのでしょう。靴屋で8000円のものが、スーツ屋では2万円。「スーツとセットなら30%引き」とかで売られてるのをよく見かけますが、スーツには詳しくても、靴に関してどうでしょうか? スーツ屋で腕時計を買いますか? 靴も専門店で買いましょう。
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写真は公式HPより

最近では、靴屋の大手ABCマートでもリペアのサービスを始めています。リペアのサービスをしているということは、例外はあるにせよ「直せる靴」を責任をもって販売しているとも言えます。店頭で靴を見ていても、簡単なカカトや、伸びたゴム程度なら直せる設計の靴が並んでいます。「餅は餅屋で買え」とはよく言ったもので、革靴なら革靴屋、せめて「靴屋」で買ったほうが、リスクも少なくよりフィットしたものが買えますので、くれぐれも注意してください。
こまつ(本名・佐藤靖青〈さとうせいしょう〉)。イギリスのノーサンプトンで靴を学び、20代で靴の設計、30代からリペアの世界へ。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。YouTube『シューフィッターこまつ 足と靴のスペシャリスト』。靴のブログを毎日書いてます。「毎日靴ブログ@こまつ
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