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「東大よりも得だと思った」異端の精神科医が東大を蹴って“意外な進学先”を選んだ納得の理由

自衛隊を辞める日に「胸ぐらを掴まれた」

――意外ですね。漫画を読んで東大に受けるというのも、かなり異質な気がします。先生は自衛隊時代も周囲から「変わっている」と指摘されていたそうですね。 益田:それも結構言われるんですよね。でも『ドラゴン桜』には受験勉強におけるヒントがいくつも描かれていて、私にとってはとてもいい参考書でした。思い返すと私自身、あまり他人から共感されない子どもだったかもしれません。結局、自衛隊にいたころも、あまり馴染めませんでした。  防衛医大を卒業した人は、医師免許取得後9年間は義務年限といって、自衛隊に奉職しなければなりません。私の場合は、義務年限より前に辞めたので、償還金を支払いました。自衛隊を辞める日も、これまで顔も見たことのない自衛隊員から「お前、国の金で学ばせてもらって、辞めるのか」とか言って胸ぐらを掴まれたりして(笑)。何で知らない人にこんなこと言われなきゃいけないのかなとは思いましたね。

「自分事として捉えてもらうため」のアプローチが必要

――そんな「共感されない」経験を持つ先生にこそ期待される役割を、今まさに全うされているのかなと思うのですが。 益田:精神科医療のあり方を自分が変えようという気負いはないのですが、これまでのあり方がどんどん変わっていくだろうなという予感は私のなかにあります。  たとえばこれまでは、疾患別のアプローチが主流でしたが、患者さんにとっては「◯◯という疾患ですので、こういう治療をします」という話はどこか遠い話で、身近には感じられません。疾患別ではなく、社会問題別にアプローチしていくことが必要なのではないかと思います。  社会問題とは、引きこもり、DV、パワハラなどさまざまありますが、実はこの背景に、精神疾患が複合的に存在しているケースは多いのです。そういうアプローチをしないと、患者さんが自分のこととして捉えるのは難しいかもしれません。
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「患者が自ら学ぶ空間作り」には一定の意味がある
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