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子どもの自死が増加する「9月1日問題」。“声を出して相談ができない問題”への対抗策が模索される

相手の考えていることや悩んでいることを正確に理解したい

――相談を受ける側として、日々どのようなことを心がけていますか? また、思春期のご自身の経験が生きている部分があれば、教えてください。 新行内:世の中には、言いたいことを言えて、正しい表現方法によって相手に伝えることのできる人ばかりではありません。自分のなかに繊細な部分を持ち、気づいてほしいと思いながら誰からも理解されないのではないかと絶望している人も多い。カウンセラーとして、相手の考えていることや悩んでいることを正確に理解したいと思っています。  私は学生時代、アクティブに行動するタイプではなく、友人といるときはいつも聞き役でした。それをネガティブに捉えていた時代もありましたが、そのうち自分の存在意義なのではないかと考えるようになりました。  人は職業を選ぶときに、幼いころの自分と対話する瞬間がどこかにあるのではないでしょうか。子ども時代の私と同じ思いを抱えている人の手助けをしているのは、言葉にできないもどかしさを何度も味わったからだと思います。これからも、丁寧にひとりひとりの琴線に沿って話を聞き取れるように邁進します。 =====  伝えたくても届かない言葉に埋もれて過ごした思春期。新行内氏は、当時の感情を誇張も矮小化もせずにありのまま保存する。その古傷が新進のテクノロジーに出会うとき、時空を超えて同じ悩みを持つ者たちの心を癒やす。 <取材・文/黒島暁生>
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki
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