意外と知らない“革靴の買い方”。実は「メンテナンスが楽」な素材とは
こんにちは、シューフィッターこまつです。靴の設計、リペア、フィッティングの経験と知識を生かし、革靴からスニーカーまで、知られざる靴のイロハをみなさまにお伝えしていこうと思います。
革靴はメンテナンスが面倒です。私もそう思っていました。しかし、選ぶ靴によっては手間を軽減することができます。まずは、色。これはもうブラックに限ります。ブラウンやネイビーといった革は、風合いを活かした状態を保つには本格的なケアが必要です。ブラックの革であれば多少の汚れはカラ拭きやウェットティッシュで拭くだけで十分。いらない靴下にズボっと手を入れて、なでるようにカラ拭きをするだけで、ほとんどの汚れは落ちてツヤも出ます。
その次に重要なのが、雨に濡れた時のケアです。濡れたまま放っておくと「銀浮き」と呼ばれる、革がでこぼこと硬化した状態になります。
銀浮きとは、革が水分を含んで、そのまま固まってしまう現象で、スムースレザー(つるつるしている革)独特のものです。これは、お風呂に長くつかると、皮膚がふやけるように、水分が中の組織に入ってしまうのが原因です。数千円の革靴でも数万円の高級靴であっても同じことが起きます。人間であれば水分は体に吸収されますが、革は生きている組織ではないので行き場を失い、膨らんだ組織が乾いて硬化してしまうのです。
対処法は即刻拭くことです。革がずぶぬれになったら、出先であればウェットティッシュ、家に帰ったら「赤ちゃんのおしりふき」で拭きましょう。
「赤ちゃんのおしりふき」は、水分の吸収も速く、アルコールなどの余分な成分が入っていないので革にダメージを与えません。また、安価であることもありがたい。ひととおり拭いたらそのまま放っておきましょう。と、言いたいところですが、もう一つ手を加えてあげると、ダメージは確実に軽減されます。それは、靴の中に新聞紙……は、もうなかなか手に入らないので、キッチンペーパーかペーパータオルをつっこんでおきます。乾燥がより速く、かつ、型崩れの防止にもなります。ここでさらに裏ワザを使いたい人には、使い捨てのカイロがお勧めです。
使い捨てカイロを紙でくるんで、靴の中に入れて一晩放置。最速だと一日で乾きます。スニーカーにも使えるので、100均でまとめて買っておくと重宝します。「出張中に雨に降られて替えの靴がない」といったシチュエーションでも使える技なので、覚えておきましょう。
濡れた靴は面倒くさい?
こまつ(本名・佐藤靖青〈さとうせいしょう〉)。イギリスのノーサンプトンで靴を学び、20代で靴の設計、30代からリペアの世界へ。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。YouTube『シューフィッターこまつ 足と靴のスペシャリスト』。靴のブログを毎日書いてます。「毎日靴ブログ@こまつ」
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