更新日:2023年12月21日 09:45
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靴の専門家“シューフィッター”が選ぶ「2023年のスニーカーベストバイ」3足

第1位「筆者が手放せなくなった1足」HOKA「RESTRE TC」

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HOKA「RESTORE TC」。1万7600円。写真は公式HPより

筆者が2023年に買った靴の中で、まちがいなく最高の1足だと断言しましょう。「何用」というくくりがありません。あえていえば「極上の日常履き」。シューフィッターの立場からすると、紐もついていない、カカトも踏みつぶしていいなんて靴は本来、おすすめできません。 しかし、このHOKA「RESTRE TC」だけは数少ない例外。カカトは踏みつぶしても、樹脂パーツの弾力で何度でも自動的に立ち上がりますし、甲の高さ・幅の広さもニットアッパーなので関係ありません。感覚としてはソックスに超軽量の厚底がついている、といった感触でしょうか。そして見ての通りソールが分厚い。HOKAの中でも一番厚いシリーズです。 この厚底によって、衝撃という衝撃はブラックホールのようにすべて吸い込まれます。それでいて片足約300グラムという軽さ。スマホと同じです。はだしでもべたつきませんし、今の時期でもソックスとも組み合わせれば寒さはまったく感じません。なによりこのフォルム。派手に見えるけれど、服に合わせると絶妙に溶け込むデザインなのです。真夏のハーフパンツから秋・冬のデニムやスラックススタイルまで、服を選びません。

人生の満足度を上げる逸品

bestbuys006あまりに履きやすく、ちょっとした遠出もまったく問題がないので、まちがいなく今年一番履いた靴でした。 ナイキのフライイーズもいいのですが、今後「ランニング専門」とか「バスケ専門」といった「専門」カテゴリーはいい意味で淘汰されていくはずです。その先駆けとなったのは間違いなくHOKAです。いつでもどこでも履ける靴は、需要増と原価高騰で価格もかなり上がってきていますが、色違いで所持してもいいくらいです。 世界的なトレンドとして、革靴もカジュアルもボーダーがあいまいになり、今後の靴は「より少なく所持して、より高性能に」なっていくのは間違いありません。人間はラクを知ってしまえば後戻りできないからです。靴業界の流れとしては暗いニュースが圧倒的に多いのですが、今後は「より高性能なものを選びやすく」なるはずです。ふとした瞬間に目に入った靴を履いてみる。そんなたったひとつのきっかけが、今後の人生の満足度を上げていくのかもしれません。
こまつ(本名・佐藤靖青〈さとうせいしょう〉)。イギリスのノーサンプトンで靴を学び、20代で靴の設計、30代からリペアの世界へ。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。YouTube『シューフィッターこまつ 足と靴のスペシャリスト』。靴のブログを毎日書いてます。「毎日靴ブログ@こまつ
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