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靴のヒールの削れ方で診断できる「健康/不健康な人の歩き方」

ヒールの「真ん中」から削れている→サポートが必要

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筆者のカカト。ふまずがつぶれ、足が内側に倒れている

一方、ヒールのど真ん中、あるいは内側から削れていたら、足か靴のどちらかに問題があると思ってまちがいありません。ケースバイケースなので最大公約数的に書くと、「ヒールの真ん中」から削れていると、相当の可能性で「外反足」(がいはんそく)の疑いがあります。よく聞く「外反母趾」ではありません。足の親指が「く」の字に足の外側に曲がっていく「外反母趾」ではなく、うしろから見たときに土踏まずが完全に地面に着いて、足首から先全体が内側に倒れこんでいるのが「外反足」です。こうなってる方は今、急増しています。筆者が街を歩いていて、ざっと5人にひとりくらいの割合で「外反足」の方を見かけます。それくらい多くなっています。かくいう私自身も軽度の外反足です。 外反足になるとどうなるか。めちゃくちゃ疲れやすくなります。全身の重みを足で受けるはずが、肝心のカカトで受けきれずに「土踏まず」で受けてしまっているので、エネルギーが一歩ごとに奪われます。砂浜の上を延々と歩いているようなもの。そして原因が自分の体重なので、年齢とともに累積で悪化します。 外反足が増えている原因は不明ですが、筆者の推測では「幅広の靴が多くなった」ことが原因のひとつだと考えています。幅広の靴はラクですが、足が靴の中で遊んでしまいます。とくに幼い時からきちんと「踏ん張る」ことをしないまま成長してしまうと、クセになってしまいます。大人になってからもやたらに幅が広い靴に慣れてしまうと、同じ現象が起きます。ただ靴屋も消費者もやたらに「幅広、ゆったり靴」を求めているので、悪しきイタチごっこが続いています。
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ニューバランス「サポーティブリバウンドインソール」。2200円。写真は公式HPより

しかし外反足を改善するアイテムも販売されているのでご安心を。おすすめは「ニューバランスのインソール」です。 そもそも、インソール製作から始まったメーカーだけあって、カスタム用のインソールもぬかりがありません。カカト周りを正常な位置に優しく戻してくれるので、既成のスニーカーの中敷きをこれに差し替えるだけで「おっ?」っと声に出して驚くほど不思議とまっすぐに立てるようになります。理屈は簡単で、「カカトの位置を固定する→カカト周りの骨が正しい位置に集結する→土ふまずに余分な負担をかけない→体重が自然とカカト(正確にはくるぶしの真下)に乗る」というカラクリです。たまにオーダーメードの中敷きを10万円などで販売する業者も見かけますが、そこまでお金をかける必要はまったくありません。
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ヒールが全然減っていなかったら…
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こまつ(本名・佐藤靖青〈さとうせいしょう〉)。イギリスのノーサンプトンで靴を学び、20代で靴の設計、30代からリペアの世界へ。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。YouTube『シューフィッターこまつ 足と靴のスペシャリスト』。靴のブログを毎日書いてます。「毎日靴ブログ@こまつ

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