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「島民の平均年収は1100万円」…高額納税者たちが“瀬戸内海の離島”に続々と移住してくるワケ――大反響トップ10

移住者はどんな仕事をしているのか

周防大島

農業に携わるようになる人が多い

いずたに氏らの努力と、地元の人々の懐の深さによって、移住先として確固たる地位を築いた周防大島。いずたに氏自身が移住してきた当時は、このような状況になるとは思ってもみなかったという。 「当時はそもそも、地方に移住することは『都落ち』なんて揶揄されてネガティブなイメージがありましたからね」 潮目が変わったのが2015年、第二次安倍政権が「地方創生」をスローガンに地方への移住斡旋に力を入れ始めた。さらに、コロナ禍で都心を避ける傾向と、テレワークの広がりとともに移住者は増えていった。 周防大島にやって来た高額納税者は、IT関連の起業家などとのことだが、移住者はどんな仕事をしている人が多いのか。 「農家になる人が多いですね。銀杏BOYZの元ギタリストのチン中村(現:中村明珍)さんも農業をされていますよ。他には、古民家がたくさん残っているのでそれを改装してカフェやゲストハウスをする人も増えましたね。また、『闇金ウシジマくん』に携わり、『ピックアップ』(ヤングマガジン)にて連載デビューした漫画家の福田博一さんも移住して来られました」(同氏)

島の出身を誇れる未来にしていきたい

高額納税者が移住してきたことで、町民税の収入も前年の約4.8億円から約32.2億円へと跳ね上がった。町の税収が増えれば、公共サービスの拡充を求める声も上がることが予想されるが、町の人々はどう考えているのだろう。 「税収が増えたのはありがたいことですが、みな特に大きな何かを期待してはいませんよ。その方々が、来年以降もずっとここで暮らしてくれるという保証はないわけですし。だから町長さんも、そきちんとプールしておくみたいですね」 意外にも堅実な周防大島の人々。では、今後に向けてどのようなビジョンを持っているのか。周防大島出身で東京に出て、Uターンで戻ってきた男性からこんな話を聞いたという。 「彼が『自分が東京に出た頃は、島出身だということは恥ずかしくて言えなかった』と……。そして『自分の子供には、周防大島出身であることを胸を張って言ってもらいたいね』と話していたんです」 この話を聞いてから、「この島の人々のために何ができるか」を考えるようになったと同氏。現在の活動を、今後も道を間違えずに進めたいと決意を語った。今後、周防大島がどのように変わっていくか期待を持って見つめていきたい。 <取材・文/Mr.tsubaking>
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。
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